第2話
「あんた本当に忘れたの?」
「うん…記憶ないです…」
「おいおい」
頭を抱える
「酔っ払ってたから仕方がないとして」
「うん」
「恋人まで忘れるとかマズいから」
「だよね」
ごもっともだ。
だが、忘れたから。
文が経緯を説明してくれた。
※
打ち上げで盛り上がっている中、1人の男子学生が私の隣に座った。
「はじめまして」
「は、はじめまして」
誰だ?
ぽかんとしていると「関わりなかったからね」と笑う男子学生。
「俺は
「へぇー」
私は表の司会だったから音響担当とは話す機会はなく、同じ司会をやっていた
人見知りで慣れない人と上手く話せないから、音響担当と話すことはなかった。
「私は
ぺこっと頭を下げた。
「よろしく、椙原さん」
※
「ここまで聞いて思い出した?」
「ぼんやりと」
「じゃあ続きいくね」
※
楽しく会話をしながらどんどんお酒を飲むスピードが上がっていった。
「ところで椙原さんって彼氏は?」
「んー?そうだねー」
酔っていて楽しいがあるから浮き足立つ感覚に。
ふわふわもしていた。
「いないよー」
にやにや笑いながら答えた。
すると相田君は「本当に?」と確認で質問した。
「いないいない、ほんとほんとー」
ぐびっとビールを飲み切る。
「すみませーん!芋お願いしまーす!」
調子こいた。
※
「なんか…うん…そうだった…」
「分かった。んでその後に相田君は静羽に付き合ってって言って、あんたはOKを出したわけ」
OKを出した…
「記憶にない」
「うわー…最悪…」
そんなこと言わないで文ちゃん。
「飲み過ぎた私が馬鹿なのは分かったけど、本当にヤバい」
「ヤバいね、どうするの?」
「うーん…」
正直に言うのが良いのか。
それとも黙って流れに身を任せるのが良いのか。
懸命に考えて考えて考えて…。
「とりあえず話す」
「おお」
「流れに任せる」
「どっちなんだよ」
「話さないと分かんないし、第一、顔もうろ覚えだし」
「あちゃー」
そうこうしていると「あっいたいた!」と声が聞こえた。
声が聞こえた方向を見ると、男子学生だった。
「おはよう静羽に文ちゃん」
「おはよう相田君」
「…」
さ…さ…ささ…
爽やかイケメンやーん!!!
「お、おおはよう…ございます」
「キョドってるけど何で?」
彼は、相田君は私の隣に座った。
にこにこしている。
こんな人に告られてOKしたのか昨日の自分。
ブサメンだと思っていた…ごめんなさい。
「相田君、あのね、静羽が実は」
「文、大丈夫」
「静羽?」
親友の気遣いに感謝して、私は深呼吸を1つした。
落ち着いてきたところでこう言った。
「確認なんだけど、私達恋人なんだよね?」
「えっ」
世界が止まった気がした。
私と彼しかいないんじゃないかと思った。
しばらくして相田君は吹き出して笑った。
「そうだよ、俺と静羽は恋人」
目を丸くなったのが分かった。
顔が熱くなったのも分かった。
「もしかして覚えてない感じ?ならもう1度言うよ」
彼はくすくす笑いつつも優しい眼差しに切り替わり、優しい声でこう言った。
「俺と付き合って下さい」
ストレート過ぎた。
ズキューンと撃ち抜かれた。
頭がくらくらする前に、私は返した。
「よろしくお願いします」
文はぱちぱち拍手していると、こっそり聞いていた周りの学生たちも拍手し、あたたかい空気になった。
次の日、恋人が出来ていました 奏流こころ @anmitu725
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