次の日、恋人が出来ていました
奏流こころ
第1話
「「「かんぱーい!!!」」」
学祭の打ち上げで飲んでいた私・
大学3年の秋のこと。
お酒は美味い、最高。
お酒に合う料理も美味しかった。
最高の仲間たちとの打ち上げ、幸福を感じていた。
「飲み過ぎたかも…気持ち悪ッ…」
「大丈夫?しず」
肩を貸してくれているのは親友の
「ビールからの芋だ日本酒だなんだとね」
「ごめんなさい…」
「送るから、頑張って歩くよ」
文に感謝して頑張って歩く。
だが、気持ち悪さが勝ってきていた。
吐きそうだ。
「吐きそうの時に言ってよ?もう吐くだと対処出来ないから」
「じゃあ今です」
「マジかよ!?」
文はシャッターが閉まっていた建物の前に私を座らせた。
袋を取り出し私の口元に。
「持てる?」
「はぁ…はぁ…無理…」
文、ありがとう。ごめんなさい。
胃液とともに這い上がってきたものを袋に吐いたのだった。
そして文は私を快方しながらタクシーをつかまえて、それに乗って帰ることにした。
※
「ほら着いたよー」
「ういー…」
オンボロアパートに着いた。
やっと帰って来た。
吐いて気持ち悪さは解消されたものの、今度は頭痛がしていた。
「タクシー代は後で返す」
「了解、んじゃ自分で歩ける?」
「うん、ありがとう」
文はそのままタクシーで帰って行った。
ゆっくり歩いた。
1階に住んでいて本当に良かった。
2階だったら何十分、いや何時間かかるのやら。
部屋の前に着き、鞄から鍵を出して開けた。
中に入り、倒れ込んでそのまま寝た。
頭がすうーっとしてきて、まるで飲んでいた記憶を消し去るかのような感覚になっていたが、気にせず眠気に身を任せたのだった。
これが後の祭り。
次の日のこと。
ピンポーン、とメッセージアプリの音が聞こえて目が覚めた。
「えっ…えっ…!?」
玄関で寝たなんて初めてだ。
衝撃を受けつつ、酔っ払ったか。
誰が送ってくれたのか分からない。
予想は文辺り。今日会ったらお金のやり取りしていたら即返そう。
ドアの鍵を閉めてから、鞄の中を確認すると物は取られていなかったし、部屋の中も荒らされていなかった。
良かった、不法侵入なし、無用心なことをしたなと思い反省する。
それからやっとスマホを確認。
メッセージは1件。開くと…。
「は?」
『おはよう静羽』
…誰だ。
『昨日は文ちゃんが送って行ったけど無事に着いたかな?』
…マジで誰。
『2限終わったら食堂に来てね、待ってる』
…だ、か、ら…
「誰なんだ貴様ー!!!」
叫んでしまった。
直ぐに大家さんや隣の人に謝った。
本当に本当にごめんなさい。
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