第五幕:新たな始まり
美咲は深呼吸をし、決意を込めて言った。「私は...この世界に残ります」
その瞬間、彼女の体を包んでいた光が消え、しっかりとした実体として地に足がついた。
アレンは安堵の表情を浮かべ、美咲を抱きしめた。「ありがとう...一緒にいてくれて」
エリスも涙を拭いながら微笑んだ。「これからも、私たち三人で力を合わせていきましょう」
リリィは少し寂しそうな表情を見せたが、すぐに明るい笑顔に戻った。「美咲、あなたの選択を尊重するわ。きっと、これがこの世界にとって最善の道なのね」
ゼノスの城から出ると、月の国ルナリアと星の国ステラリアの人々が待っていた。彼らは英雄たちの帰還を喜び、歓声を上げた。
フィンが前に進み出て、厳かな声で告げた。「月と星の力が一つになったことで、新たな時代が始まる。美咲、アレン、エリス、君たち三人が、この世界の平和の象徴となるのだ」
その言葉に、三人は互いを見つめ、頷き合った。
数ヶ月後、ルナリアとステラリアの統合式が行われた。美咲とアレンは、二つの国を結ぶ架け橋として、共同統治者に任命された。エリスは、新たな統合軍の総司令官として、両国の安全を守る重責を担うことになった。
式典の最後、美咲は群衆に向かって語りかけた。
「私たちは、違いを乗り越え、共に歩んでいく新しい道を見つけました。月の優しさと星の強さ、その両方を兼ね備えた世界を、みんなで作っていきましょう」
アレンも続けた。「互いの文化を尊重し、理解し合うことで、より強く、より美しい国を築いていけると信じています」
エリスも剣を掲げ、誓いの言葉を述べた。「私は、この新しい国とその民を、我が命に代えても守り抜くことを誓います」
式典が終わり、夜空には月と星が寄り添うように輝いていた。美咲、アレン、エリスの三人は、城の屋上から美しい光景を眺めていた。
美咲は静かに言った。「私、きっと正しい選択をしたと思います」
アレンは彼女の手を取り、優しく微笑んだ。「ああ、俺たちの物語は、ここからが本当の始まりだ」
エリスも頷き、「これからも、三人で乗り越えていきましょう」と付け加えた。
月と星の光に照らされた新しい国で、彼らの新たな冒険が始まろうとしていた。それは、平和と希望に満ちた未来への第一歩だった。
(第五幕 終)
(物語終)
月光の魔法使いと星の王子様 月妃 @ichicat5
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