第4話『イイコト』
「私とイイコトしない?」
私とイイコト?…私と…イイコト…。
は?いやいやいやいや…は???
何がどうなってこうなる。
俺の返答も待たずに妹の友達こと七草優華が俺を押し倒してくる。
「ねえ、良いでしょ?」
「シちゃおうよ…♡」
いやいやいやいや!マズイ!
なんでそんな蕩けた表情を浮かべてるんだこの子は!あかん!非常にあかん!というか最近の子はこういう感じなのか!?
「でも、一つだけお願いがあってぇ…」
「お兄さんがぁ…私の家庭教師…してくれるならイイコト…してあげてもいいよぉ♡」
か、家庭教師?それぐらいならしてあげても…って!あれだぞ!家庭教師だけだぞ!イイコトは関係ないぞ!!あ、おい!画面の前のお前!今こいつ勉強できんのかよwって思っただろ!舐めんな!偏差値70超えだぞ!
凄いんだぞ!
──閑話休題
とにかくこの状況は非常にまずい。
まずは彼女をどかさないと…。
変なところに触れてしまったらマズイ!
そう思うと手がブルッブルになってしまった。
「んっ…やんっ!ちょっとぉ気が早いよぉ…♡」
違う!断じて違う!やめろ!腰だろ!胸触ったみたいな反応すんじゃねぇ!!
ガチャッ
「あ」
「あ」
「え?」
終わった。
マイシスターは憤怒の表情を浮かべていた。
「…!お兄ちゃんはそんな事しないと思ってたのに…!!」
「いや、待て!違うんだ!夏希!」
「うるさいッッ!!お兄ちゃんなんて大ッ嫌い!!!!!」
バンッ!と勢いよく扉を閉めるマイシスター
…追いかけないと!
「ちょっとどいて!」
焦ってるので少し乱暴にどかす俺。
「ちょ、ちょっとどこ行くんですか!」
決まっている。
「夏希を追いかけんだよ!!」
彼女は…夏希は…俺の大切な妹だ…!
彼女だけは傷つけたくない。
彼女の前だけでは素直に居たい。
急いで階段を駆け上がると彼女は自室で泣いていた。
「…ひっく…ぐすん」
「夏希…」
「…話を聞いてくれないか?」
「何?変態なお兄ちゃんなんて大嫌い」
「今すぐ消えてよ話すことなんて無い」
「違う!誤解なんだ!話を!」
「何が?何が誤解なの?優華は可愛いもんね。我慢できなかった?」
「ロリコンとは思ってたけどほんとに手を出すとはね…」
「だから誤解なんだって!」
でも…ありのまま起きた事を話すと
優華ちゃんとの関係に傷がついてしまうかもしれない。それは兄の俺としては避けたい。
こんな状況になっているのは七草優華のせいだ。でも不思議と彼女はそんな悪い人には見えなかった。何か事情があるのかもしれない。──だから…だから俺は
「夏希、俺にはお前だけなんだ」
「頼むから話を聞いてくれ」
「…なにさ」
「あれは事故だ」
「優華ちゃんが躓いて倒れて」
「俺を押し倒すみたいな構図になって」
「それをなんとかセクハラにならなそうな腰に手をやってそっとどかそうとしたら」
「私が帰ってきたって訳ね」
「そうなんだ信じてくれ」
「決してお前の友達に手は出してない」
「俺はお前に嘘はつかない」
ごめんマイシスター。それは嘘だ。
でも、手を出してないのは本当だ。
「ん、良いよ。信じてあげる」
よ、良かったぁ…。とにかく妹とは一件落着という形で収まった。残すは後1人。
七草優華にあの行動の真意を尋ねることだ。
次の更新予定
なんだかんだ面倒見の良いツンデレ妹との日常 蒼空豆 @soramame727
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。なんだかんだ面倒見の良いツンデレ妹との日常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます