第3話『妹の友達』
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだい妹よ」
「今日さ、部屋から出てこないでもらえるかな?」
「…へ?」
お兄ちゃん大ショックである。え?なに?
嫌われた?嫌われたの?拗ねようかな?
拗ねちゃおうかなー!!!
「いや、別に嫌いになったとかじゃないし…」
とモゴモゴと弁明する妹。可愛い。
「ただ今日私の友達が家に遊びに来るからなるべく部屋に居て欲しいなってだけ」
「成程…妹の部屋に居ればいいと」
「なんで私の部屋なのかな?そんな訳ないよね?」
「分かった分かった。妹のベッドで横になればいいんだな?よっこらせと」
スーハスーハー…妹のいい匂いがすりゅぅ…
「キモッ!!きんもっ!!」
何も聞こえないなぁ…ガハハ!!今の俺は無敵!
「お兄ちゃんってなんか残念だよね…」
「せっかく顔はそんな悪くないのに眼鏡かけてるし髭ちょっと生えてるしそんな性格だし…」
「今、お兄ちゃんの事イケメンって言った?イケメンって言った?」
「言ってない!!!」
「イケメンって言った?」
「言ってないって!!!!」
「イケメンって「しつこい!!!」
怒られてしまった。納得いかないなぁ…。
──閑話休題
とにかく今日は友達が来るから部屋にいて欲しいとのことだ。
「いや部屋に居てって言ったよね?なんで普通に私とリビングに居るの?」
「リビングも部屋みたいなもんだろ」
「いやそうじゃなくて自分の部屋に居てって言ったよね?」
「ベッドの中?」
「私の部屋じゃない!!!」
「良いじゃん〜ちょっとでも長く妹と居たい兄の気持ちを汲み取れよ〜」
「友達にこんな恥ずかしい兄を見せたくない妹の気持ちを汲み取って下さい」
「…さてはイケメンだから取られちゃわないか心配なんだろ!?」
「はあ…余計なこと言ったなマジで…」
妹さんガチため息っす。兄悲しいっす。
ピンポーン!
ま、まずい!そんな事言ってたら妹の友達が来た!ま、まあいいか。普通に居たって良くない?恥ずかしくないし俺。
「あーもう!ちょっと私出てくる!」
ガチャッ
玄関の扉を開ける妹。
「あ、夏希ちゃんヤッホー」
落ち着いた若い女の子の声が聞こえる。
「うん、優華ちゃん久しぶり!」
そんなたわいもないやり取りをしてからリビングへと案内する。
「えっと、夏希ちゃん。この人は?」
「えーと、これは私の兄!バカ兄貴!」
「あれ?いつもみたいにお兄ちゃんって呼ばないの?」
「ふんにゃァァァァァ!!!!」
妹怒る。怒っている姿もまた愛らしい。
「あ、えっと、夏希ちゃんの友達の
「夏希の兄の
「は、はいっ!」
しっかりとした良い子じゃないか。
黒髪ボブの少女を見て俺はそう思った。
女性不信な事もあり、少しハラハラしていたが案外良い子そうな子で良かった。
「…そ、そんなにジロジロ見られると…」
「…お兄ちゃん?」
心做しか妹の顔が怖い。
「ああ、ごめんごめん!そんなつもりはなくて!!」
しかし、妹より発育がいいな。隣に並ぶとより…
「お兄ちゃん???」
妹の顔が怖いのでこれ以上考えるのは辞めておこう。というか思考読まれてるの?
怖いよお兄ちゃんは怖いよマイシスター。
「で、なんでお兄ちゃんも居るのかな?」
「一応」
「なんの一応だよ!!」
「ま、まあまあ夏希ちゃん。私はお兄さん居ても気にしないから…」
「優華ちゃんごめんね、今度はこのロリコンが居ない時遊ぼうね」
「おい、誰がロリコンだ誰が」
心外だぞ。というか友達の前でそんなこと言うな。誤解されるだろ。
「え、えぇ…ろ、ロリコンさんなんですか?」
ビクビクしながら聞いてくる優華ちゃん。
…ちょっと可愛いな。
「お兄ちゃん???」
だからなんで俺の思考が分かるんだよ!
「とにかく!私トイレしてくるから!お兄ちゃん!優華ちゃんに変な事しないでね!!」
「マイシスター、そこはお花摘みに…」
「うっさい!!!!」
怒られてしまった。今日カッカッしすぎでは?
というか2人きりは気まずいだろう…。
「ねぇ、お兄さん?」
「ん?」
「私と、イイコトしない?」
…え?
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