第2話『乙女心は難しい』

「…ん…ぅぅん…」

なにやら体が少し重い。何かが上に乗ってる?昨日はFPSゲームに勤しんでいたのでもう少し寝ていたかったが起きることにした。寝ぼけまなこで目を開けるとそこには──

「お兄ちゃん!早く起きてってば!」

天使(妹)がいた。え?なに、可愛い。

なにやら文句がありそうな顔でこちらを見つめる妹。そんなとこも可愛いよ。

「ニコニコしながら私見てないで早く起きてよ!!」

「んー?照れ屋さんかなー?」

「ゴフッ!!」

みぞおち辺りを思いっきり殴られた。酷い。

バイオレンスな妹ちゃんである。



「ご飯もう出来てるからね!」

「ん?ああ、ありがとう」

今はゴールデンウィークという素晴らしい期間なので妹ちゃんが居るがゴールデンウィークが終わってしまったらと考えると…

やだ!そんなのお兄ちゃん認めません!

頑張れゴールデンウィーク!負けるなゴールデンウィーク!!連休終わるの反対ー!!

「全く…私が学校始まったらお兄ちゃんどうする訳?」

妹から言われてしまった。せっかく現実逃避していたのに。

「お前が学校休めば良いと思う」

「兄が言うとは思えない台詞!!」

「兄じゃないぞ?お前の愛しのお兄ちゃんだぞ☆」

「はいはい、寝言は永眠してから言おうねー」

「それ、二度と言葉発すること出来ないんだけど?!」

今日のマイシスターは毒舌である。

そんな所もかーわーいーいー♡



──閑話休題

さてと、暇だ!いや、だってニートだし。

時間だけは無駄にあるということに定評のある無職だし。職はないけど時間はあるのが無職だし。なので、妹の部屋に遊びに行くことにした。

「妹〜!!」

勢いよく部屋を開ける。

──なんと妹はお着替え中だった。

確かにまだ妹はパジャマだったなと呑気なことを考えながら俺は妹に発する。

「…B?」

「黙れ!!C寄りだし!!」

と言いながら豪速球で物を投げてくる妹。

見事俺の顔面にクリーンヒット!!

まあいいものを見たので得したと思っておこう。…という訳で妹が着替え終わるまで待つことにした。後、ノックするようにした。



コンコン…「そろそろ良いか?」

「…良いですけど」

少し妹は怒っているようだ。そんなとこも可愛い。

「で、要件は何?」

「遊ぼ」

「え?」

「遊ぼ」

「え?それだけ?」

「うん。それだけ」

妹は呆れたような表情を浮かべる。

「お兄ちゃんさ…他にもっとやるべき事があるんじゃない?」

「おい!妹と遊ぶことよりも大事な事なんてこの世にないぞ!!ふざけるな!!」

「なんで私が怒られてるの!?」

「で、遊んでくれないの」

「えぇ…」

「お兄ちゃん、妹と一緒に遊びたいなぁ…」

「はあ…別になんも予定ないから良いけどさ」

「よーし公園でキャッチボールだ!」

「どっかの早熟少年と重曹舐める天才子役か」

どうやら●しの子はちゃんと読んでるらしい。ネタバレをしてやろうか。という意地悪な心が芽生えたが辞めた。



結局テレビゲームに落ち着いた。

今回やるのは某赤い帽子を被った低身長のおじさん達が登場して大乱闘する感じのゲームだ。ちなみに俺は得意な方である。

「んにゃあぁぁぁぁ!!」

「また落ちたァァァ!!!!」

「ちょ!お兄ちゃん!手加減して!」

となにやら妹が騒がしい。どうしたのカナ?

「うっうっ…ひっくひっく…ぐすん…」

ま、マズイ!エマージェンシー!エマージェンシー!妹が泣きそうです!ここは一旦接待プレイ!!

「ふふっ!なーんてね!引っかかった?」

【悲報】妹の泣き真似だった模様

お兄ちゃんを舐めやがって!と言いつつ妹が泣いていないことに安心する優しい兄でした。ちゃんちゃん♪ちなみにゲームは圧勝した。


「お腹減った!ママ!ご飯!」

「うるさい!!ママじゃない!」

と言いながらもご飯を作ってくれる妹。

マイシスターマジ優しい天使。

「…そういえばなんか部活はやってるのか?」

「部活ー?私はやってないよ?どうして?」

「ふーん…そっかそっか」

「…何その満足そうな顔」

ちょっと引き気味な感じでこちらを見つめる妹。可愛いねマイシスター。

「いやぁ?妹ちゃんが早く帰ってきてくれてお兄ちゃん嬉しいなぁ〜って」

「うわぁ…ロリコン」

「せめてシスコンと言ってくれるかな?」

俺はロリコンでは無い。決してロリコンでは無い。その筈だ。例えロリコンだとしてもお前にだけだよ。いやだからシスコンなのだ。

「ロリコンもシスコンも変わらないでしょ」

「変わるが!?俺はお前だけなんだが?」

そうすると顔が少し赤くなる妹。

「…ばか」

そういって乱暴にご飯を置いてから階段をあがり2階の自室へ戻ろうとする妹。うーん近頃の女の子は難しいなぁ…。

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