第4話 青森に到着


ここは青森の中でも特に田舎の街で人口は3000人も居ない。辺りを見回しても山と畑、人口が減ったことによる空き地やツタが巻きついている空き家などしかない。そしてこの季節は降雪・積雪が酷い。ほとんど道は雪で白くなっている。

車を降り、家に向かう。祖父母の家は信じられないくらい大きい。言うまでもなく新しくはなく、昔からある瓦屋根の家だ。1階がとても広く後から建てた2階もそこだけで生活出来そうなくらい広い。


父が4人分のスーツケースを降ろし、それを運ぶのを手伝う。敷地が広すぎて駐車場から家までも距離があった。雪で滑らないように丁寧に運ぶ。

ふと家の真裏の山が目に入る。入ったことは無いが何故か気になる。昼間に変な夢を見たせいだろうか。そんなことを一瞬考え、またスーツケースに意識を戻す。




「ピンポーン」


妹のかんながチャイムを鳴らし、扉を開ける。


「じーじーばーばー来たよーーー!!!」


かんなが大声で叫ぶと祖父母が居間から顔を出す。


「まあ遠くからよく来てくれたねぇ。あれ、かんなちゃんちょっと大きくなったんじゃなあい??」


祖母が顔をしわくちゃにしながら廊下を歩いてくる。背は低めでちょっとぽっちゃりしている。そして綺麗な雪が光っているような白髪が目立つ。人柄がとてもよくいつも優しく歓迎してくれる。


「よく来たね、中に入って暖まるといい」


これは祖父だ。とても聡明で若い頃は東京で銀行の頭首を務めていたそうだ。そして眼鏡がよく似合う。背が高く、ひょろりとしている。祖母と同様祖父もとても優しい。いつも的確なアドバイスをくれて決して人を見下したりしない出来た人間なのだ。


見てわかるように2人とも津軽弁は話さない。

ここは青森の中でも特に田舎の街で人口は3000にも居ない。辺りを見回しても山と畑、人口が減ったことによる空き地のようなツタが巻きついている家などしかない。そしてこの季節は降雪・積雪が酷い。ほとんど道は雪で白くなっている。

車を降り、家に向かう。祖父母の家は信じられないくらい大きい。言うまでもなく新しくはなく、昔からある瓦屋根の家だ。1階がとても広く後から建てた2階もそこだけで生活出来そうなくらい広い。


父が4人分のスーツケースを降ろし、それを運ぶのを手伝う。敷地が広すぎて駐車場から家までも距離があった。雪で滑らないように丁寧に運ぶ。

ふと家の真裏の山が目に入る。入ったことは無いが何故か気になる。昼間に変な夢を見たせいだろうか。そんなことを一瞬考えまたスーツケースに意識を戻す。



「ピンポーン」


妹のかんながチャイムを鳴らし、扉を開ける。


「じーじーばーばー来たよーーー!!!」


かんなが大声で叫ぶと祖父母が居間から顔を出す。


「まあ遠くからよく来てくれたねぇ。あれ、かんなちゃんちょっと大きくなったんじゃなあい??」


祖母が顔をしわくちゃにしながら廊下を歩いてくる。背は低めでちょっとぽっちゃりしている。そして綺麗な雪が光っているような白髪が目立つ。人柄がとてもよくいつも優しく歓迎してくれる。


「よく来たね、中に入って暖まるといい」


これは祖父だ。とても聡明で若い頃は東京で銀行の頭首を務めていたそうだ。そして眼鏡がよく似合う。祖母と同様祖父もとても優しい。いつも的確なアドバイスをくれて決して人を見下したりしない出来た人間なのだ。


見てわかるように2人とも津軽弁は話さない。

元々東京に住んでいて老後に移住してきたため、完全に標準語しか喋れないし津軽弁を聞き取ることも出来ない。

颯人も小さく会釈して「こんばんは」と言った。

2人とも微笑んで「中で温まろう」と言ってくれる。


そうして荷物を玄関に置き、畳に座る。21時を回っているが祖父母も含め年越しそばを食べる。年末といったら紅白をつけながら食べる蕎麦は絶品である。ネギやかき揚げ、山菜が入っていてさらに出汁のいい匂いがする。


「おかわりあるから沢山食べてね〜」


「お母さんのお蕎麦本当にいつも美味しいです〜!」


母が祖母に気を遣う。ここは父の実家なので母はあまり気を抜けない。そうは言っても祖母は料理の手伝いなど一切要求してこないとてもいい姑なのである。

颯人は紅白初出場のミスチルの出番を待っている。


「ピロン♪」


颯人のケータイが鳴った。開いて見るとカンタからだった。颯人は早く見たい気持ちと、カンタが自分の質問に対して肯定してきた時の複雑な気持ちが入り交じってしまい、なかなか見れない。なぜか心臓が速く動く。


「颯人、2階の部屋にスーツケース運んじゃおうか。後回しにすると面倒くさくなってしまう。」


父に言われ颯人はケータイを置き、スーツケースを運ぶ。みんなはまだ居間で団欒を楽しんでいるのに面倒なことを先に済ませようとするのが本当に父らしい。

寒い廊下でスーツケースを転がし2階に運ぶ。なんだかホコリが舞っている気がする。ミシミシ言う階段は、スーツケースの重さと相まって今にも段が抜けてしまうのではないかと思った。


2階に着くとまた、とても長い廊下がのびている。所々にある窓から雪景色が眺められる。そこでまたふと山が目に入る。どうしても気になって仕方がない。


「父さん」


最近は自分から話しかけることがあまりないため少しぎこちない。


「どうした颯人」


父は優しく嬉しそうに颯人の方を振り返る。


「あ、のさ………ここから見える山なんだけど登ったこと…ないよね?」


「ないよ。」


「あの山って何かあるの?」


「何も無いけど、どうしてそんなこと聞くんだい?」


「なんか分からないけど気になって……もし、」


「荷物置いたら下に戻ろう、父さんはコブクロが見たい。」


いつもはしっかり話を聞く父だが、なぜか話を遮られてしまった。余計に気になって仕方がない。しかし父が話を遮ったのは、本当に何も無いからそれ以上議論の余地がなかった、いう可能性もあると颯人は考えた。


颯人は父の背中を追いスーツケースを奥の部屋に運んだ。


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最後に願いが叶うならばもう一度君とあの星空の下で すみれ。 @tyuruki_pan7

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