第3話 夢と旅路



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颯人は夢をみた。


颯人は山の中にいた。

もう日が暮れてしまい辺りは薄暗くカラスの鳴き声が聞こえる。


「じいーちゃあぁぁぁん!どこおぉぉぉぉ!」


颯人は祖父を必死に探し回る。

歩いても歩いても茂みしかない。赤い色のキノコが生えている。ここはもしかしてまずい場所なのではないかと感じる。走って走って走り続ける。すると滝のような音が聞こえてきた。


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「…っ!!!」


颯人はここで目を覚ます。

(なんだか不気味な夢を見てしまった。)

夢を見ながら冷や汗をかいていたのか体全体が湿っているように感じる。

窓から外を見てみると、日が沈み始める頃だった。夢を見ている時間は短かったが、思っていたより長く寝ていたようである。


「お、颯人起きたか。今福島県の郡山のあたりだからな。」


「今なんじ」


「もう16時すぎよ。車でよく3時間も眠れるわね」


母は呆れた感じで言い放った。颯人はそんなに時間が経っていたことに驚く。

あの山は祖父母の家の近くにある山ではないかと颯人は考えた。しかし一度も足を踏み入れたことは無かった。なので入ったことが無いならば夢に出てはこないと考え、自分で創作した山だと考える。


「もうすぐパーキングエリアに着くからちゃんとトイレとか済ませるのよ。」


パーキングエリアに着くらしい。颯人は気分が上がってきた。パーキングエリアは大晦日のこの時間帯、人がほぼいない。まるで世界から颯人の家族4人以外が消えてしまったかのように感じる。そんな中東京と違い、澄んだ空気を吸うのが大好きだった。

(高速道路の上だから果たして本当に空気が澄んでるのかって思うけど)


車が駐車場に入る。車は大きなトラック1台止まっている以外に見当たらない。

颯人たち家族は車を降り、トイレに向かった。

雪がちらついていて素肌が出ている部分にツーンと冷たさを感じる。


用を済ませて車に戻りこれからは母が運転する。

そうして4時間程だったところで祖父母の家に着いた。これから颯人は自分の人生が変わろうとも思いもしなかった。



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