恋バトル
@251020
第1話 〜学校の天使なんですけど〜
鏡を見ながらする濃すぎない薄づきのメイク。
少し高いポニーテールの仕上げに付ける大きめの黒いリボン。制服のスカートは折り過ぎず、しっかり校則に沿った丈の長さ。
「うん、我ながら完璧だわ。」
いつものように鏡の前で笑ってみせる。
「今日学級委員の仕事あるんでしょ?早く出なよー」
隣の部屋からお母さんの声が聞こえる。
「いってきまーす」
「はいよ、いってらっしゃい」
「乃朝くんおはよう。」
「おっ!瑞乃さん来た!」
元気よく手を振ってくるのは同じ学級委員の宇星 乃朝(うぼし のあ)
元気で明るくて皆から好かれている王道人気者って感じの人。
「今日こんな朝早くから呼んでおいてさー?朝会で使う紙にホチキスするだけなんだって。」
「笑、もう少し遅くても全然間に合うのに」
微笑んで見せた。大体の人は目を見て微笑むと顔やら耳やらが赤くなる。
けど、
「それな!」
「、、、笑」宇星は違うらしい。
私が微笑んだのに対して、宇星は満点の笑みで返してきた。そんなに自分に自信がある訳じゃないけど、こんなにも手応えが無いのはコイツ(宇星)が初めてだ。
「皆んなそろそろ登校してくる時間ですね。」
「そうだねー、するべき事も全部終わったし!そろそろお開きにしよっか。」
「そうですね。私購買に行って昼ごはん買ってきますね。」
「俺も行くー!」
「分かりましたよ笑」
こんなに朝早くから購買に行くのには理由がある。それは、ここの購買のパンがめちゃくちゃ美味しいこと。特にメロンパンとくるみパンが私のお気に入り。
「瑞乃さんそれ好きだよねー。」
「?、どうしてですか?」
「いつも食べてない?その2つ」
「よく見てますね」
「、今のちょっときもいかも。やっぱ言わなかったことにしておいて!」
「それは無理ですね。」
「えぇー??」
やられっぱなしじゃ私の負けず嫌い精神が許さないから少し意地悪をすることにした。
「、、、、隣のクラスの方が乃朝くんの事じーっと見てますよ。」
「あ、ほんとだ。」
「行ってあげた方が良いんじゃないんですか?」
「行ってくるわ!じゃーねー」
「さよなら」
あの隣のクラスの女の子、最近乃朝の事が好きなんじゃないかって良く話題になってた人だなぁ。きっと告白しに行くんだろう。大分可愛い子だし、、、クラスメイトからいじられて嬉しそうにしてる所は少し苦手だったけど。そんなの関係なく仲良さそうに話してるからきっと付き合うんだろう。
「澪ー、おっはよー」
「由利香じゃん。おは」
「相変わらず裏表が激しいねぇ、、」
「これも社会で生きていく1つの術よ。」
「ふーん」
このボブの可愛らしい子は幼馴染で私が猫を被っているのを唯一知っている人。
「てか、最近乃朝とどーなのさ?」
「どーなのって、何もないけど」
「えー、つまんないのー」
「クラスとかで良く聞かれるんだけどなんなの。それ」
「だってね?美男美女の学級委員が付き合うー!とか、面白いでしょ。いい話題よ」
「くだらな」
「澪は恋愛しないの?」
「タイプの人は居る」
「え、嘘でしょ」
「誰なの!?」
「えぇ、言わないよ。」
「長年一緒にいるじゃーーん!ねぇーー」
由利香が駄々を捏ねているのを流しながらお互いの教室に別れた。
その時、肩に勢いよく誰かがぶつかってきた
「わっ!瑞乃さんじゃん!!」
ごめん!と勢いよく手を合わせて私より15cmばかり高い身長を屈ませてくる。
「告白はどうしたの?」
「え、なんで知ってんの」
「雰囲気で分かるよ。そんなの」
「はぁー、、すげぇ」
「付き合った?」
「、んーん。」
「、、、、は?」
「え」
「ゔうんっ、、、。ごめんなんて言った?」
「お断りさせて頂きました。」
嘘でしょ。あんな可愛い子なのに?、あんな仲良さげに話してたのに?なんなのよこいつ、、
「俺中学の時恋愛で色々やらかしたから高校ではもうしないって決めたんだ。」
やらかしたって何?もしかして、
「浮気?あ、二股したとか。」
「ごめん。俺そんなにチャラそうに見える?」
「、、、まぁ、少しだけそう見えますね。」
「まじかよ。」
目の前で無いはずの尻尾を下げるこの男、何処まで行っても掴みどころがない。
恋バトル @251020
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