俺の最悪な人生が死ぬ前に報われた気がした話

アレクサンドル

2人の出会い




 俺はショックを受けている。



 この世界は残酷で俺がしたいことはただ…"愛されてたかった"。



 だから……今の世界の現状を俺が引き起こしてることだと信じたくなかった。



 


 「トーマス」

 「レディ……」


 


 俺、トーマス・ブラストはその1番愛されたかったレディ・ハルペリンとこの"白い世界"で向き合っている。




 「トーマス。これであなたの地獄は終わるよ」

 「そうだな……。ようやく終わる」




 レディはこの"2人しかいない場所"でそう言ってくれた。




 「あなたの世界は地獄だった。いつも愛に飢えていた」

 「そうだな……」






 「私は"ただ愛していた"……」






 「」

 「ずっと"この場所"で」





 俺達2人がいる場所は白い直方体の場所だ。




 「この場所ってなんだよ……俺がここに会いに出向いて来たんだろ?」

 「そうだね……言い方を間違えた……この世界でってこと」

 「これは擬似的に作られてるからこの白い所が世界だけど?」

 「夢がなさ過ぎるねっ!!!ちょっと例えようとしただけなのにマジレスしないでくんない!!?」

 「…………ごめん」




 怒った顔も可愛いな。




 「とりあえず"あなたの時間"もないことだから担当直入に言うね?」

 「あぁ」




 「あなたの1番したいことって……何だっけ?」




 「……愛されることだよ。お前に……レディに愛されること」

 




 「……………」



ーーー



 俺の人生は散々だった。0歳の時に親に売られ、よく分からないバイオフュージョンに携わる研究所で被検体として扱われてきた。そこでは俺の血からいくつもの分身を作ろうとする所でもあり、実際今の俺の人格も何人目かの俺に与えられたもの……。正直、分身が成功した奴らは存在しない。




 まぁとにかく……俺は既に人じゃない。




 この世界で生きるのは酷く辛かった。俺みたく実験台にされた仲間のジンティーや、ティモシーとか、仲間は沢山いた。


 そいつらとあちこちで"戦争"をさせられてきた。俺達は武器屋の武器みたいな商品だった。


 それは5歳から続けられ、実に14年にも及んだな。まぁ、もっと言えば精神年齢は5歳でも"肉体年齢"は20歳だった。本当に終わりを感じなかった。使えないと分かれば売られるか、"遊ばれる"か……実験に失敗された奴らは無駄にはできないため、無駄なとこを処理して残った部分は飯で出されることもあったよ。




 それでこの蔓延る戦乱の世界だからかこれが続くものだと本気で思っていた。





 「ロドス島にいけ」




 ある時、研究所の責任者のトップハットからこう命令を受けた。




 ロドス島……ここは俺達と違って戦う為に作られた人間……、つまり実験とかで作られるのではなく、戦闘者として訓練などで造られた人間だと言うこと。まぁ、根っからの人間だ。そいつらが沢山いる島ということだ。




 何でロドス島に行けと言われたのか……それは、トップハットが金を欲しいからなだけだ。


 「トーマスをうちの島に派遣してくれ。島の奴らの良い教訓になる。金は弾む」


 それだけだった。




ーーー





 「そこではエドワードやルーク、ジャックとか沢山良い人達がいたよね」




 「もう、俺の"殺す対象"だろ?そして、俺も"殺される対象"…そんな関係だ」




 「それはあなたが勝手に決めただけ」




 「俺はもう壊れてるんだよ。レディ、"お前が死んだ"と思ったその日から俺は……ずっとこうなんだよ。今更お前が生きていたから取りやめにできるほどのことじゃねーんだよ」




 「」





ーーー




 レディと会ったのはロドス島でだ。




 「あなたがトーマス?」

 「君は?」



 酷く魅了された。黄色の髪に青い目。身長は160cm台半ばで体は細く………胸も…まぁ…ん、多分……BよりのCか?サラシで持ってなければ。



 「失礼しましたバストはBよりのCです」




 あ、人を見る癖が裏目に出た。




 「レディ。レディ・ハルペリン」

 「……そうか」

 「あなたは?」

 「トーマス・ブラスト」

 「トーマス……!!覚えたよ!」

 「君は何なんだ?」

 「私はここで"最強"をやらせてもらってます」

 「」





 島に到着して案内されたある屋敷の応接間でのこのやり取りが俺達の出会いだった。これが……俺の一目惚れと言うやつでもあった。





 そして……俺の最高で最悪な人生の始まりだった。

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俺の最悪な人生が死ぬ前に報われた気がした話 アレクサンドル @ovaore

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