第4話 同級生の友人(後編)

 頭の悪い俺は、頭が悪くても入れる高校に進学した。変わり者が多かったその高校では友達はたくさんできた。

 一年生の頃は先輩達から洗礼を受け、よく顔を晴らして帰った。

 だが、三年生になった頃にはまさに天下だった。それは俺の人生において唯一、学校が大好きだった一年間だった。

 他の高校にいっていたらそうはならなかったかもしれない。そう思うと高校で学んだこととは全く関係ない仕事をしているが、あの高校に行って本当に良かったと思える。


 …あくまで、学校が好きだった一年であり、それはそれで楽しかったが、小学六年生の頃のブラック団で遊んでいた頃の景色のほうが輝いて見えていた。

 あの頃は目に映る何もかもに可能性を感じていた。


 20歳になり中学の同窓会にいった俺は1次会だけでて帰るつもりだった。本当に気のいい奴らで、こんなクソみたいな俺にも声をかけてくれた。

 だが、酔っ払った友人の発言から俺はとんでもない事実を知ることとなる。


「お前はホント悪かったよなぁ」

「昔の話だろ」

「いやいや、とくにあの子が自殺未遂をした時は流石に「待った!」」


 そばにいた同級生が言葉を遮ると、友人はハッとした顔をし


「作り話だよw」


 と誤魔化した。でも、そこまで言われて気づいてしまった。

 なるほどな。あの明らかに深い手首の傷は











 俺がつけたんだな…と




















 …………


 彼女は結婚し、家庭をもち幸せに暮らしているそうだ。俺があの子の心につけた傷は計り知れない物だったのだろう。

 子供の頃は心無い事を平気で言ったりしてしまう。


「お前は、友達に酷い事いったりするなよ」

「ん?…なんかよくわからんけど、わかった」


 今の俺にできることは、大事な息子と娘を俺みたいな人間にしないことだけだ。


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俺たちブラック団! teikao @teikao7857

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