天使と悪魔、居候中。 

ヤガミ

第1話 休日を満喫中の俺に襲い来るインターホンの嵐。

―――ピンポーン。


 「――――――?」

 俺はインターホンの音で目覚める…

 ゆっくりとソファから起き上がりインターホンへ向かう。


―――ピンポーン。―――――ピンポーン。


 人がいなくて静かな暖かいリビングに、何度もインターホンの音が鳴り響く――。


 (何度もインターホンを鳴らすせっかちなやつは誰だ?)

 せっかくテスト期間が終わり、暖かいリビングのソファの上で休日を満喫している俺を邪魔するとはいい度胸じゃないか。


 俺はそう思いながら、インターホンのカメラを見る、―――そこには母がいたのだが…

 買い物に行ったはずの母の手には、いつも買い物の時に持っていくエコバッグを、持っておらず、手には何も持っていなかった―――。

 (多分、買い物袋が重く持てず、俺に車から家まで運ぶのを頼みにきたのだろう。)


 でも、何回もインターホン押すかな?

 母の性格上それは考えにくかった――。 

 とか思いながら、俺は廊下の照明の明かりをつけて、渋々と足を進める。


――――ピンポーン。


 今もずっとインターホンはなり続けている。

 

―――ドンドンドンドンドンドン!!!


 「えぇ?何?!」

 母の性格上、扉を叩くことはもっと考えにくい。俺は状況が普通ではないことを感じる…

 俺は廊下を駆け走り、玄関の鍵を素早く開けて

ドアノブに手を伸ばす――――


――――バタン!!!


 母は鍵を開けた音を聞いて、俺よりも早く扉を開いた。

 俺は完全に事態が普通ではないことを悟った。

 俺は焦って母に問いかける―。 


 俺「母さん!どうしたの?!」

 母「ゆづる!いいからこっち来て手伝って」


 今日は雨が降っていた。

 母は傘もささずに、全身びしょ濡れだった。


 俺「母さん!傘ささないと!」

 母「そんなこと今はどうでもいい!」

 と言って母は俺の手を掴み、雨の中傘をささずに前に進んでいく

 外にいる時の、冬と雨のは地獄のセットである

 これは、―――風邪確定だな。 


 母は俺の手を強く握り玄関を出た途端駆け足になり、車の横を通過してもその足は止まることなく家の外まで出た。

 

 俺「ちょと、母さんなんだよ急に外なんかに連れてきて―――――ッ!!!」

 そこには雨に打たれてずぶ濡れで横たわっている女性がいたのだ。


 母「早く!家に運ぶわよ!!!」

 俺「母さんは家に帰って、バスタオルで身体拭いて、お湯沸かして!」

 母「でも、あんた一人で……」

 俺「大丈夫だから早く!!」

 俺はすぐさまに、膝の裏と背中に手を回す。

 彼女の身体はまだわずかに暖かかった。

 彼女を持ち上げたら、身体がとても軽く、体が痩せ細っていることに気づく。

 (とにかく急いで彼女を家に運ばないと!!)


 俺は玄関につくと彼女を廊下におろして、靴を脱いで、再び彼女を抱えて風呂場に急いだ。

 ―――彼女は靴さえも履いていなかったのだ。 


 リビングのヒーターの前に彼女をおろして用意されていたバスタオルで髪を拭いてあげた。

 その時。

 女性「――?」

 彼女は幸いにも目を開けて、呼吸もしており、意識があるみたいだ。

 俺「よかった、もう安心ですからね」


 俺は安心で顔の筋肉が緩み、顔に満面の笑みを浮かべた―。

 女性「!、、、、」

 女性の顔は顔が急に赤くなり俺から目をそらしたのだ。

 俺「―――熱があるのか?」

 おでこを触る。

 女性「!!!、、、」

 さっきにも増して彼女の顔は真っ赤になった。


 母「彼女はあとはまかしなさい」

 俺「俺もついていくよ心配だし」

 母「あら、ゆづるは女の子の着替えがみたいのかしら―――フフフ」

 俺「は、はぁ?!そんなの知らなかったし!」

 母「あら、照れちゃって可愛い」

 俺「照れてねぇわ!!」

 母「まぁ、ゆづるも体濡れてるでしょ?早く着替えてココアでも飲んで、あたたまりなさい」

 母「風邪ひくわよ?」

 俺「うん、心配しないで」

  (大丈夫ほぼ風邪ひくの確定だから)

 母「あと、私とこの子の分のココアもいれててねー」

 俺「あいよ」


 俺はココアをいれ、そして自分の部屋に戻って着替え、ついでに部屋にあったカイロを持ってきて、彼女が着替え終わるのを椅子に座って待っていた。


 ――――――ゆづるー!

 

 廊下から2つの足音がだんだんこちらへ近づいてくる。

 俺は心配になってカイロパーカーのポケットで温めていたカイロを持ち、廊下のドアを開ける。


 ――――っ! バサッ(カイロを落とす音)

 俺はその場で立ち尽くし、声が出なかった……

 そこに立っていたのは、黒パーカーで白ラインの入った黒のズボンを履いた若い女の子だった。


 髪はサラサラな黒髪、目の瞳は綺麗な赤色…

クールな顔立ちだった。

 何より、彼女はとても美しかった…


 ――熱があったのは俺だったのかもしれない。

 体がだんだんと熱くなっていく…

 心臓もドクドクいっているのが、感じる。


 バタン――――――――


 母「ゆづるー!!!!!」 


 


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