明言探偵の事件簿

到達者師失人

第1話

明言探偵の事件簿


やあ僕は明言探偵事件を解決する前に解決の仕方を明言する探偵だ。

 今回の事件は


『犯人に僕のスマホを壊させて』


 で事件を解決するよ。


 俺はある日ラブレターが下駄箱に入っていた。

 内容は俺と付き合いたいから旧校舎の物置で待っていてほしいと書いてあったので意気揚々とその待ち合わせの場所に向かった。

 そこは少し前大掃除したのか物置とは思えないほど片付いていて誇りもほとんどない。

 今日は学校は半日なので放課後直行した俺はあたりを見回す。


 「机に何かおいてある紙と箱か何々これでも食べて待っていてください」


 それはチョコの沢山入った箱だった。


 「まあ小腹すいたし」


 この浅はかな決断がまさか人生崩壊の危機を招くとは当時の俺は予想さえしていなかった。

 そこから記憶はぷつんと途絶えることになる。

 気づく差し込む光はオレンジ色で中々時間がたったようだ。

 違和感を感じその方向を見ると隣に誰か寝ているようだ。

 その人物は女子生徒に裏で手を出したいると悪名高い嫌われ者のB先生のようだ。 

 しかしおかしい何故か触れてい肌から温もり熱もあまり感じない。

 人間はここまで体温が低いものなのか?

 俺は嫌な予感がして飛び起きB先生の首の頸動脈に指を開けた。


 「うわーーーーーーーーー死んでる!?」


 「何かあったの凄い声出して? 戸を開けて!」


 「わかった今開ける!」


 俺は戸を開けようとした。

 

 「あかない鍵はしまってないのに立て付けが悪いのか?」


 「もしかしたら戸の鍵が壊れているかもしれない! 何度も戸の鍵を上下して」


 「わかった!」


 俺は引き戸の鍵を上げて下げて戸を引くことを数回しやっと戸が開いた。


 「何かあったの?」


 と五人の女子生徒が現れた。

 

 「B先生倒れてまさか死んで!?」


 「待って確かめるわ。一応戸の鍵を確認して」


 「死んでる貴方がやったの?」


 「戸は正常みたい壊れてないわね」


 「そんな馬鹿な……鍵はしまっていなくも開かなかったのに……」


 「ごめんね! これじゃ味方はね……警察呼ぶね!」


 「待ってくれ!」


 「無理待てない!」


 「おやおや楽しそうなことしているね? 流れような死亡確認から戸の鍵が壊れていないかの確認。まるで事前に用意したかのような綺麗な流れ僕の探偵としての嗅覚に実につんと来る違和感だ」


 「貴方は誰?」


 「僕はここの隣の部屋に入りびたる君たちと同じ学生だよ。僕は探偵人呼んで明言探偵さ」


 と現れたいかにもインドアの肌が白いかわいらしくも知的な印象を受ける彼女はずかずかと現場に入り込んだ。


 「何勝手にやっているのよ!」


 「おや? ここまで流れ様にスピーディでそこの彼を犯人と断定して言い逃れできなくして僕が調べることに何か問題でも?」


 「そりゃ現場を混乱させないための現場保存とかよ……」


 「おやおや急に歯切れが悪くなったね。君たちが調べられると困ることでもあるのかい?」


 「ないわよ勝手にすれば!」


 「そこの君これに至る経緯を説明したまえ」


 俺は全て話すと明言探偵と名乗った彼女は俺の両手を確認し、戸とB先生の遺体をしばらく眺め部屋角の段ボールに積もったほこりを指でなぞった。


 「ふむ! 事件は解決だ!」

 

 「何馬鹿な事を! そいつが犯人で決まりでしょ!」


 「本当に解けたのか?」


 「では僕の推理を始めよう。まずこの物置だが数日前掃除している人間の声や物音は僅かに聞こえたが、僕が気になって調べたところ教師の誰も知らない生徒たちの自主的なものだったようだ」


 「それが何だっていうのよ?」


 「おいおい明らかな現場を整えトリックを仕掛けるチャンスとは思わないのかね? 推理を続けよう。次に戸の引き戸の鍵だがこれは壊れてはいない」


 「だからこいつが犯人で……」


 「それは可能性は低いだろう。何故なら彼の証言通り事件前食べたという手にはチョコが付着している。引き戸の鍵にはそれチョコの跡が複数個所残っていることから、あかなかったのは突っ張り棒でも使ったのだろう」


 「それ……それはこいつのアリバイ工作で……」


 「なら余計おかしい。そんな事考えていたなら真っ先に疑われるのは彼だ。疑われた時点でいうのが妥当だろう」


 「でも……でも……」


 「さらに言えばB氏の遺体の衣服の背中の汚れは汚れた水を吸い乾きかけたものだ。おそらく足跡(げそこん)を隠すためにB氏運び込んた時残った足跡を掃除と言い訳ができるように水で濡らしたモップで拭いたのだろう。そして気がはやり乾く前に遺体を現場に置いた。これはおそらく非力な女の犯行しかも複数だ。男なら最悪背負う手が使える」


 「しょっ……証拠は?」


 「僕が調べた限りこの物置の鍵が貸し出されたのは今年に入り一回のみ、事件よりも早く返却されたところをみるとホームセンターで合い鍵を作ってもらったのだろう。教師と近隣のホームセンターに確認してもらえればわかるはずだ。つまりこの場に都合よく表れ都合よく彼の犯人扱いの流れを作れる君たちが一番怪しい。ここに先ほどから録音した証拠の私たちの音声がある」


 「よこせ! これでどうよ! あとは貴方二人の口を封じればいいだけ! 殺るわよ! 皆もう後には引き返せないのよ!」


 「明言的中。そのスマホのアプリは録音機能はない録音アプリに見せかけた電話アプリだよ。通話先僕と親交のある刑事の一人すでに警察はこちらに向かっている。これまでの音声データとそのスマホに突き刺さるナイフもう言い逃れできないよ?」


 そう明言探偵が言葉を放つとパトカーの音が聞こえその場の全ての女子はへたり込んだ。


 「ありがとう助かったよ! 明言探偵さん」


 「ふむ君が感謝に思うなら。事件が落ち着き旧校舎に入れるようになったら隣の部屋をだずねるといい」


 そして後日指定された通りの部屋いくと、明言探偵部という聞きなれない言葉のかかれたプレートがつけられた部屋があった。


 「ここか明言探偵さんいますか?」


 「鍵は開いている自由に入るといい」


 そうして入ってみるとそこには校長室の仕事机よりもあきから高級の机に収まる明言探偵がいた。


 「さて最初に君の疑問に答えよう。彼女たちがあんな凶行に及んだのは、裸を盗撮されBに脅され連日性被害にあい自殺した親友の敵討ちだったようだが、捕まりたくない彼女たちは適当な男子をはめようとあんなことをしたようだ。僕からすれば実に滑稽だ。敵討ちで相手の命は奪っても責任はとりたくないと他者に擦り付ける。この案件なら探偵でも雇えばいかにこの学校の上層部がBに脅されていても罪を暴くこともできたろうに、彼女たちは忌み嫌うBと同じ罪を犯したわけだ。気持ちはわからなくはないが同情はできない」


 「本当に助かったよ。マジで人生終わってたかもしれない」


 「なら存分恩は返してもらおう。何僕が卒業するたった二年の間限定さ。君の男ならこれくらいの恩返してもいいんじゃないかね?」


 「それぐらいなら」


 「よし決まりだ僕は明言探偵本名は――高校二年この学校一の探偵さ。早速だが依頼を片付けよう。まずこの案件体から何々――」


 こうして名言探偵との密度の濃い青洲が始まったことに当時の俺は予想さえしていなかった。

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