最終話 『帰省中の新幹線で』
「『帰省中の新幹線で』完』、とタイピングして、沼津平成はため息をついた。見直しをしようと、最終話を最初から見直してみる。誤字はなかったが、語弊はあった。沼津平成はそれを直し、音読する——。
*
十三時に岡山を発ったひかり号の自由席は思った通り賑わっており、座席を確保できなかった人は、結局トイレの辺りで立っていた。岡山—広島間でひかりの途中停車駅は福山の一駅のみだ。
安心したのか、僕は両親に『たぶん、十五時にはそっちに着くよ。』と送り、ひかり号でも熟睡していた——。
「ここは?」起きたとき、僕は岡山にいた。
「…………あれ?」
ひかり号に飛び乗った時、確か午後一時だったはず。今は——。岡山駅の時計は午後四時半を示していた。
(愛読している沼津平成の某ミステリーと同じようなことが起きたのだ)と僕は思った。新幹線は広島行きで折り返し、岡山駅に戻ってきたのである。
「この切符は、この場合どうなるんだろ」と僕は思った。そして、駅員さんに言って、新しい切符を買った。
*
沼津平成はスマホを取り出した。カレンダーアプリではこの後の予定は2週間後まで入っていない。沼津平成は帰省することにした。
「先生! 先生! 連載一本入りました! 先生! どこにいるんですか——」
そう電話アプリに伝言が入ったことに気づいたのは、実家の最寄駅に降り立った時だった。伝言が入った時間は、沼津平成が、帰省中の新幹線に乗っていた時だった——。
『帰省中の新幹線で』完
帰省中の新幹線で 沼津平成@空想≒執筆 @Numadu-StickmanNovel
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