つまさきおしょう
タルタルソース柱島
ぬすんだのはだあれ?
むかしむかし、ある村のお寺に、「つま先和尚」と呼ばれるお坊さんがいました。つま先和尚は、何か困ったことがあると必ず「つま先が教えてくれる」と言う不思議な人でした。
村人たちはそれを面白がり、何か問題が起こるたびに和尚に相談に来ていました。
ある日、大金を盗まれた村人がやってきました。
「和尚さま、大事なお金が盗まれてしまいました!犯人を見つけてください!」
和尚はにっこり笑い、「つま先に聞いてみるとしよう」と答えました。
和尚は村人全員をお寺に集め、
「これからつま先が犯人を教えてくれる」
と宣言しました。そしてこう続けました。
「今から本堂に置いたつま先の神さまに触れてもらいます。触った人の中で足の裏が黒く汚れる者が犯人です」
みんな驚きながら順番に本堂へ行きました。暗い部屋の中に置かれた「つま先の神さま」にそっと触れると、誰もが静かに戻ってきます。
最後に和尚が言いました。
「さて、全員が触ったようだな。では足の裏を見せてくれ」
しかし、足の裏を見せた全員の足はまったく汚れていませんでした。
和尚はじっと人々を見回し、こう言いました。
「犯人は、お前だな」
すると、一人の村人が顔を真っ赤にして膝をつきました。
実は和尚が本堂に置いた「つま先の神さま」はただのつやつやした石で、触っても何も起こりませんでした。しかし、犯人だけは石を触ることを恐れ、触らなかったのです。そのため、足の裏が汚れていないことを示して自分の無実を証明しようともしなかったのです。
「罪を犯した者のつま先は、真実を隠せぬものだ」
和尚はそう言って、犯人を村人たちに引き渡しました。
こうして村は再び平和になりましたとさ。
めでたしめでたし。
つまさきおしょう タルタルソース柱島 @hashira_jima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます