告白

「……それで桃花はご機嫌ナナメなわけね」


「ほっんと、信じられない!あのタイミングで『告白』ってワード出されたら、ちょっと期待しちゃうじゃない!」


 文芸部の集まりが解散したあと、桃花は今日の翔太との一連のやり取りで溜まった不平不満を佐藤ゆずへ訴えていた。


「文芸部メンバーで初詣に向かう道中、可愛い幼なじみと歩きながら神社まで空き缶を蹴り続けられたら告白する。こんなプロットを作っといて、私のこと眼中にないとかほんとありえないっ」


 気が収まらず、桃花はゆずに愚痴り続ける。それも無理もなかった。翔太から告白して欲しい。そのために翔太と同じ高校へ進学し、同じ部活を選び、冬休みも定期的に会うために毎週の短編作りにも賛同したのだ。


 カクヨムのお知らせをみたときに成瀬部長なら必ず“お題で執筆キャンペーン”に参加したがるに違いないと読み切った桃花は、あらかじめゆずにお願いして、わざわざ脚を痛めたフリをしてもらったのだ。陸上部と兼部してるゆずまで短編に参加するなら、翔太だって参加せざるを得ないはずだと。


「桃花はかわいいね。そこまで好きなら告白したらいいのに」


「うー、もういい加減告白したほうがいいのかなぁ。クリスマスも正月も結局なんにもなかったし……」


 前回のお題「雪」の時、能天気に異世界ファンタジーのプロットを語る翔太にムカついて、大人げなくダメ出ししてしまったことを桃花は今さら悔いていた。そんなことをしても翔太が「あ、クリスマスか。恋人の季節だね、好きだ桃花」なんて言うはずないのに。


 今回の初詣イベントはほんとにラッキーだったけど、やっぱり告白するところまでは行き着かなかった。


「作戦練り直しだわ……」


「まだ作戦いるかなぁ。素直に告白したら?翔太くん、たぶん桃花のこと今も好きだよ?」


「そうかもしれないけど、私は告白されたいの!」


 翔太の恋愛スイッチを“つま先”で蹴り上げたい。そんなことを考えながら、桃花の冬休みは終わっていくのだった。




◇◇◇◇◇◇◇◇


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つま先で恋を蹴る はいそち @haisochima

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