青酸カリの香り

小川かこ

ミステリィの香り

洋館に轟くかみなり。

外は豪雨。

完璧な密室。


そして、偶然〜GU-ZEN〜居合わせた”天才・探偵”の僕!!


なんて最高のシチュエーションなんだ!!


この豪雨もまた神々が僕に祝福をしてくれているようではないか!!


死体は、この洋館に宿泊に来ていた老紳士。

無惨にも刺された傷跡が痛々しい……

我が探偵事務所の女子大生アシスタントはこの騒動に浴室からバスローブ一枚で……全くあられもない姿で飛び出してきてはしたない!

この僕が、とっととこの事件の犯人を見つけてしまわないと。


客室を見回し、この名探偵はまず遺体を丁寧に観察する。


「おや?アーモンド臭?!青酸カリか?」


この名探偵にかかれば死因の特定もお手のも……


「えーアーモンドのボディクリーム❤️

良い香りっしょ!アルガンオイルとシアバター入っててしっとりするんよ!」


女子大生アシスタントが湯上がりの玉の肌をバスローブからチラリと覗かせる。ふんわりと心地の良い香りがして……


「ええい!殺人現場で紛らわしい香りさせるんじゃぁない!」


「ひっどーい!この人が殺されたの私のせーじゃないのにぃ〜」


全く!緊張感のないことこの上ない。


「青酸カリ臭をさせるお前さんが悪い。」


これまた偶然居合わせたお馴染みの刑事が苦笑いで、女子大生に部屋に戻るように指示をする。


「なにそれ〜。青酸カリじゃなくてアーモンドクリームでっす!」


不満顔も可愛らしい女子大生に殺人現場など見せるものじゃぁない。


その後、警察の現場検証で無事犯人が見つかり逮捕・裁判にて厳粛に裁かれる運びとなったが……


それ以来、青酸カリのアーモンド臭を嗅ぐと湯上がりのアーモンドクリームを思い出してしまうのは内緒だ。

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青酸カリの香り 小川かこ @Ogawa_kako

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