私はワカト

望月 葉琉

私はワカト

ワカトが死んだ。以降は私がワカトになった。ワカトはこの国最後の姫君。他の王族も全て弑逆された今、遺された唯一の希望の光だった。

 私はワカト。このティナリールの姫。でも本当は、ただの影武者。捨てた名を知る者は片手で数えるほど。

 顔が似ていただけで引き取られた私は、もちろん彼女と血の繋がりはない。同じような教育を受け、似るように育てられても、似て非なる存在。

 この国は、とうに滅びているのである。


「ワカト様!」

「ワカト姫様!」


 皆が私の名を呼ぶ。私はそれに微笑みで応える。【似ている者】から【偽物】になってしまった私は、いつまでこれを続ければ良いのだろうか。

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私はワカト 望月 葉琉 @mochihalu

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