ごとき
穏眠そろ
第1話
「あの子、学校でいじめに遭っているみたいなの」
妻に突然言われた言葉だ。唖然とした、とはこのことだろう。自分の息子がいじめに遭うなんて、想像していなかった。心の底から苛立ちを覚えて、部屋で寝ている息子を殴ろうかと思ったが、それは違うと思って止めた。
「殴られてるのか?靴を隠されてるのか?何をされているんだ?」
たぶん口調はイライラしていただろうからかなりの早口だったと思うし、声もでかかったはずだ。キッチンで洗い物をしている妻がビクッとしてこちらを向いた。
「どの程度なのか分からないけど、『お前ごときが何を調子に乗っている』とか、『お前ごときが生きている意味がない』って言われてるみたいなの。」
「あぁ、そうなのか」
俺の声がいきなりトーンダウンしたから、妻が余計に驚いてこっちを見た。
なんとなく、その日はそれで会話が終わった。
次の更新予定
2025年1月11日 07:00
2025年1月12日 07:00
2025年1月13日 07:00
…
ごとき 穏眠そろ @onmin-soro
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