第5話  暗闇の中で

正が「奈津?最近、あんまり喋らないね」と奈津の方を見た。

奈津は「え?まだ、大亮の事を忘れられて無いし、本当に好きだったの」と正に返事を返した。

正が「そうか。でも、俺は奈津の事を好きだったんだけどな」と少し悔しく感じて居た。

大亮の妹の真美が来て「奈津さんでしたっけ?」と奈津に声を掛けた。

真美が「奈津さん。私ね?お兄ちゃんに頼まれて手紙を渡しに来たんです」と奈津に大亮の手紙を渡した。

大亮の手紙には「奈津。ごめんな。俺、奈津の事が好きで、お前とこれからも一緒に暮らしたいと思っている。でも、この手紙を読む頃には俺は居ないかも知れない。だから、俺よりももっと素敵な人と一緒になって欲しい」と言う手紙が書いてあった。

奈津は「何で、あんたのことを忘れようとして居たのに私は、こんな手紙を見て涙が出ちゃうんだろう?」と涙が込み上げて来た。

正が「あー、辛気臭いな?そんなに大亮の事が良かったのかよ。女ってよく分からないな」とポツンと一言、言葉を漏らした。

奈津は「で?真美さん。手紙を渡してくれてありがとう。やっぱりさ?私、もう少し前を向いて歩いてみようと思う」と正に声を掛けた。

正が「だろう?じゃ、改めて俺と…」と話し掛けたのだが、奈津が「そんなにがっついても、女に嫌われるだけよ?もう少し、タイミングってものがあるでしょう?女心を全く分かって無いんだから」と正のおでこにビンタをした。

正が「痛い。お前の方こそ、ちゃんと男に優しくしないとダメだろうが、分かって無いのはそっちだろう?」と奈津に返事を返した。

奈津は「正らしいわね?しょうがない。私が傍に居てやるよ」と正の手を握った。

正は「サンキュー。やっぱり俺が見込んだだけはあるな」と話をした。

奈津は「バカ言ってんじゃないよ。調子に乗るな」と正にきつい言葉を投げ掛けたのだった。

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君を亡くして 影山 みはつ @mihatsu1865

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