第2話 その後…
輝人は、華乃の手の温もりを感じながら、これまで心に秘めていた想いを伝えたくなる気持ちを抑えられなかった。自分の気持ちを口にするには勇気が必要だったが、今なら言えるかもしれない。何かに背中を押されるような気がしていた。
「華乃…」輝人は、少し躊躇いながら彼女の名前を呼んだ。「俺、ずっと前から…君のことが好きだったんだ。」
その言葉に、華乃は驚いたように目を見開いた。「え…?」
「ずっと、君のことを見てた。何度も伝えようと思ったけど、勇気が出なくて…でも、今日こうして君が俺のもとに来てくれたから、やっと言える気がしたんだ。俺は、華乃のことが本当に大切なんだ。」
静かな部屋の中で輝人の言葉が響く。華乃はしばらくの間、その言葉の意味を考えるように目を伏せていたが、やがて小さな声で口を開いた。
「私も…同じだよ。」
輝人は耳を疑った。思わず「今、なんて…?」と聞き返してしまう。
「私も、輝人のことがずっと好きだったの」と華乃は微笑みながら言った。「でも、言えなかった。友達のままでいた方が、傷つかなくて済むって思ってたから。」
「そんな…」
華乃の言葉に驚くと同時に、輝人は胸の奥が温かくなるのを感じた。お互いに同じ気持ちを抱えていたのに、それを伝えられずにいた自分たち。そのことが少し切なく、でも同時に愛おしく感じられた。
「じゃあ、今からは…もう遠慮しないでいいんだね?」輝人がそう言うと、華乃は頷いた。
「うん。もう、遠慮しない。」
その瞬間、二人の距離は完全に消え去り、輝人はそっと華乃を抱き寄せた。彼女の香りと温もりが、これまでの寂しさや不安をすべて消し去ってくれるようだった。
「今夜だけじゃなくて、これからもずっと一緒にいたい」と輝人は囁いた。
「私も…これからもずっと、輝人のそばにいたい」と華乃は彼の胸に顔を埋め、静かに答えた。
それから二人は、長い時間をかけてお互いの想いを確かめ合った。夜は更けていったが、二人の心は初めてひとつになれたように感じられた。
そして、窓の外から一筋の朝日が差し込み、部屋を淡い光で包んだ頃、輝人は華乃に向かって優しく微笑んだ。
「おはよう、華乃。これからは、毎朝こうして一緒に迎えられるといいな。」
華乃も微笑み返しながら、小さく頷いた。「うん、これからもずっと一緒に。」
こうして、輝人と華乃の新しい物語が始まった。その夜の約束が、二人をこれからの未来へと導いてくれるだろうと信じて。
今夜だけ、君と 輝人 @nog1_love
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