力がほしいかならばくれてやるちゃんは、幼馴染に力をあげたい

1月9日（木）

　昨日の反省を生かして、今日は力がほしいって言いやすい雰囲気づくりを頑張った。

　朝はあいつよりも早くに起きて、迎えに行ったし、登校時は車道側を歩いた。

　学校に着いてからは、できるだけあいつをサポート（？）する感じで傍にいた。

　消しゴム落としたら、誰よりも早く取ってあげたし、ハンカチ忘れたって言ったら貸してあげた。

　お昼ご飯は一緒に食べつつ、あいつの好きなおかずを分けてあげたりもした。

　私としては、かなりいい感じだと思ってたんだけど、五時間目の休み時間に、「どしたの？　今日の力がほしいかならばくれてやるちゃん、幼馴染君と恋人みたいな雰囲気醸し出すじゃん？」て、仲良しの璃々ちゃんに言われた。

　そこからはもうダメだった。

　恋人同士に見られているって思っただけで、恥ずかしくて傍にいれなくなった。

　私はただ、力がほしいって言ってほしいだけなのに。

　ずっと、腰抜け状態で雰囲気づくりなんてできなかった。

　メンタル！　私のメンタルこれでいいのか！？

　って、何度も心の中で叫んだけど、無理だった。

　そんな午前とは明らかに様子の異なる私を心配したあいつに、逆にフォローされてしまった。

　悔しい……。

　結局、メンタル立て直せないまま、家に着いちゃったし……。

　でも……。

　でも、恋人同士に見られたのは正直嬉しくはあった。

　恥ずかしいけど。

　力もあげてない・もらってない同士で恋人なんて、不純だけど、それでもなんだか嬉しかった。

　あいつはどうなのかなって思ったりもしたけど、恥ずかしすぎてそれ以上考えるのは無理だった。

　家に着いてしばらくしてからあいつから、「明日はいつも通り、俺が迎えに行くよ」とメッセ来た。

　助かる。

　いつも通りで助かる。

　明日からは、もう少しいつも通りの距離感でなんとかする方法を考えないと。