最初の国編

第1話 異世界転生と貴族

 ッスースハァ――ッスースハァ――


 昼間から規則正しい寝息が響くとある屋敷の部屋。ベッドを上を見ると赤茶色の髪色をした青年が意識を飛ばしたかのように眠っていたのであった。顔にはガーゼが幾つか貼り付けられており、目の横やデコには痣が見られるのであった。

 ベッドで寝いている彼の名前は、「榛凪はしなぎ 黎兎れいと」。性別は男で身長は170程である。


 フワフワ浮いているような感覚だ。俺はそう思いながら雲の中のような空間を進み続ける。何故か知らないが確か車にどつかれたあと、意識を飛ばして……。ってまさか。


 「思っている通り。死んでるね君は」


 突如、背後から声が聞こえてくる。そして、後ろに振り向くとそこには一人の青年が立っているのであった。俺は、心が読まれたかのように的確に発言されたことと此処に連れてきたのは大方こいつでその理由が何か。と言うのを考えるのであった。しかし、その考える暇さえくれないくらいの合間でその青年は話し始めるのであった。


 「まぁ、安心といて。今回だけ初回サービスで異世界に飛ばしておいてあげるから」


 「——は?」


 俺は思わずそう口に走った。しかし、青年は表情をかえることなくまた続けるのであった。


 「仕方ないなぁ。能力とママチャリまけといてあげるから。そう怒らさずに」


 (いやいや理解できない。意味不だ意味不)


 俺はそう心の中で叫びながら目の前の青年に言われたことを理解はしていないが聞くのであった。異世界と能力はつきものって言われるけど、ママチャリはちゃうだろ。どんな世界だ本当に。


 「まぁ、取り敢えずもう後目を覚ますだけだから。続きは向こうでねぇ」


 「えっ?」


 俺はその疑問符を着けた「え」を発音すると青年に押されて後ろの地面があった筈の所に出来た穴に落ちるのであった。


——屋敷の部屋


 「落とすなよ」


 俺はそう叫びながら勢いよく起き上がるが背中の痛みが一気に走り目をつぶりながらゆっくり上半身を倒すのであった。車にどつかれた後だから病院か……?顔を横に向けると見たこともないような形(まるで物語の城に出てくるお洒落な)をした窓。まさかと思って、体を持ち上げると目の前にはこちらもまた西洋な机と鏡。

 黎兎はそれを見て、さっきの悪夢のことを思いだし、放心状態となってしまうのであった。


 黎兎が放心状態となった数分後。ガチャッと扉が開く音がして1人の男性が入ってくるとそれに気付いた黎兎は、そちらの方を見るのであった。

 男性は黒色の毛に混じるように白髪が生えており顔の見た目もおじさんのような感じであった。服は西洋の貴族のようなものであり、よく見ると髪もセットしてあった。


 「目は覚めたか?茶髪の青年よ」


 俺は声をかけられたが如何せん声を出すことが出来なかったので頷くのであった。すると、貴族おじさんは笑みを浮かべ、黎兎に話し始めるのであった。


 「森に倒れていたところをうちのメイドが……」


 「それ以上の説明は私が行います」


 開いたままの扉から1人のメイド服を着た女性が入ってくるのであった。全然違かった。コスプレでメイド服を着せられたことは何回もあるけど。やっぱり本物は……えっ、本物????

 俺は、ビックリして息が詰まりそうだったが落ち着いて平常心を装い、説明を受けようと待つのであった。


 「分かった。あとは、頼むよ」


 そういうと貴族おじさんは、部屋から出ていきメイド服を着た女性は話し始めるのであった。


 「先程の方はルムナス領第10領主ハリス様です。」


 成る程。だから……ってルムナス領って何?まさか、あの悪夢は正夢とは。と言うことは此処は異世界。能力あり自転車もあると言うことか。


 「森で倒れているところを見つけ私が持ち帰りしました。魔物が出る森なのに生き残れてて幸運でしたね。あと、近くにあった金属の塊もあちらにあるので、体が治ってから確認してください。では、」


 そう言いメイド服を着た女性は外に出ていくのであった。俺は、とりあえず自転車があったら此処を異世界だと認識しようと考えてまた、眠りにつくのであった。


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異世界チャリ旅 稲城 博世 @Isekaiyarou

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