第2話 これは、あくまでゲームの世界
今日一日の授業を全て終えて、放課後に突入し、いつものように靴箱を開けて靴を取り出そうとしたのだが......
「うげっ.....」
俺の靴の上にある大量の画びょうを見て絶句してしまう。
また、悪戯である。虐めと言うわけじゃない、単なる男たちからの復讐だろう。
こういうのも昔に1度だけあったのだ。
「確か乃愛と仲良くなり始めた頃だっけ.....」
そう、中学の時に1度だけあったのだ、これと似たような悪戯が。
乃愛は学園1位の美少女といっても過言じゃない、そしてそんな彼女が男子から好かれるというのは当たり前ということで。
そしてその彼女と仲良くしている俺が妬みの対象になるのも当たり前だ。
でも、こういうのは大抵1回で終わるものだ。
まぁ多分......一時の感情でやってしまった、ということだろう。
だから俺は追求もしなければ、誰が犯人か特定する気もサラサラなかったりする。
俺は画鋲を捨ててその靴を履く。
「ちょっと時間かかっちまったなぁ.......」
外では乃愛が俺の事を待っているため、早く行かなければ行けないのだが、こんな姿を見せる訳にはいかない。
「乃愛をキレさせるのはガチでやばい.......」
いやほんとに、やばいなんてどころなの話じゃない。
いや、俺のために本気で怒ってくれると言うのは嬉しい、嬉しいよ?
だけど乃愛がブチギレたら.......
とんでもない事になりそうな、そんな気がする。
まぁとりあえず待たせすぎているため、俺はとっとと外へ向かうのだった。
▼
「......悪い、手間取った」
「.......何してたんですか?」
中学の時のように、校門で待っていた乃愛に声をかけると、そんな返事が来た。
俺は少し言い訳を考えると......
「以前助けた女の子に声をかけられてな、無視するのは流石に感じが悪いだろ?」
「バグ君はいつも人が良すぎるんですよ!そんなの全部無視すればいいのに!」
「いやー.......悪い悪い」
乃愛は頬を膨らませ、「わたし、怒ってます!」といったような表情で言ってきた。
「確かに人助けというのは素晴らしいことだと思いますが......その前に優先すべき人を忘れてるのでは?」
「ごめんごめん......でもお前彼女とかじゃないだろ?」
「.......」
乃愛はハイライトのない目で俺の事を見つめてきた。
まるで「そんなの関係ない」といわんばかりの顔である。
俺は昔から......人助けをする。
親からそう教えられてきたせいだろう、困ってる人を見るとどうしても見捨てることが出来ない。
だからこそ.......乃愛を少し羨ましいと思う時もある。
彼女は大切な人以外、全てミジンコ以下に思ってるような人だ。
表面上は仲良くしているが、基本的には全てを見下してるようなやつである。
そんなことを考えながら、俺は帰路を辿る。
「.......それでは、また明日会いましょうね!バグ君!」
「あぁ、絶対に侵入してくんなよ?家に」
「さぁ?私にはなんのことか分かりませんね〜!!」
「だめだこりゃあ......」
乃愛と解散して、家に帰る。
俺は自分で言うのもあれだと思うが、割と心が広い人間だと思う。
大抵の事は許してしまう、それが俺だ。
イタズラをされようが、基本的には放置をする、それが俺だ。
「なんだかなぁ......」
いつもは何も感じないのに、今日は何故か違和感を感じてしまう。
「.......待て」
.......何で、悪戯は1度で終わる?
みんながみんな、一時の感情ですぐ冷静になれるようなもんなのか?
いや、確かにその可能性はある.......が、それにしたっては可能性が低すぎないか?
「........ぁ」
俺は、その違和感の正体に気づいてしまう。
いじめなんて.......ただの1度で終わるわけがない。
悪戯が何度も続くからいじめなのだ。
じゃあなぜたったの1回で終わるのか
「.......だれかが、脅している可能性?」
だれが、何のために?俺なんかのために行動をするような奴なんて......
「......いるか、ただ1人だけ」
俺のことが大好きで、もしかするとそういうことをやってしまいそうなやつが.......
俺は次の瞬間、家を飛び出した。
「.......ったく、どうして今の今まで気づかなかったんだよ」
どうして違和感を今まで感じてこなかったのか、まるで意味がわからない。
いや.......もしかしたら
「女子にドタキャンされまくるのも、もしかして.......」
わからない、だけどそう考えると辻褄があってしまう。
だって、何度も何度もドタキャンされるのもおかしいのだ、だってそんなに何度も続くなんて、あまりにも運が無さすぎる。
「......出来れば、間違ってて欲しいんだがなぁ.......」
学校に辿り着く、そして様々な場所を巡る。
......そしてやがて、俺は見てしまった。
学校の屋上、そこに男と......そして1人の少女がいた。
そしてその少女は、その男を見下ろしながら、告げる。
「.......これ以上、ご主人に手を出そうもんなら」
彼女は冷笑を浮かべながら
「.......ブチ殺しますよ、本気の力で」
それは、本当にしそうな声をしていて、聞いている俺ですら、僅かに恐怖を抱いて、そこで俺はハッとした。
乃愛が、イタズラを止めていてくれてたのだ。
その男たちを、力でねじ伏せることによって。
「.......はは、何だよ、あれ」
彼女の手には球体を手から生み出していて......男たちのすぐ近くに凹んでしまっている床を見て。
俺は、思考放棄をするのだった。
エロゲの主人公っぽいやつを観察していたらいつのまにかその完璧すぎる幼馴染に外壁を埋められていた件〜その幼馴染の裏の顔がヤバすぎる...⁉︎〜 りと @Raimgh
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