第6話 夢オチ

こうして、世界に平和が訪れた。

しかし、魔王サ・イキョーが倒されたことにより

各地で燻っていた悪が世界を取ろうと動き始めた

彼らがその事実を知ることになるのは

まだ少し先の話なのである



エンドロールが流れてきた。

おなじみの黒い背景に白のドット文字だ。

キャストロールに移行すれば

製作者 ハジメ

のような文言が乱発していたので途中でスキップした。


「終わっちゃいましたね」

「だな……リアルの俺もそろぼち起きるだろうし」

「どうでした異世界は」

「異世界ってより出来の悪いゲームって感じだったけど、バグないしまぁうん」


どんな評価をしようが俺のせいになるため、なんとなく言葉にするのをはばかられた。


「宿屋で回復でもして終わるか」


ノンタイムでスムーズに街へと移動する。目の前にモブキャラの赤い髪が迫ってきて怖かった。進行方向に突っ立ってるとつっかえるアレが目の前で再現された。


「最後にさ、君なんて名前なの?」


宿屋に入る手前でとうてみた。彼女は扉に伸ばした手をとめ、こちらをみた。


「ユリですよ!」

「ユリか……いい名前だな」

「はい!ハジメ君が考えてくれた名前ですもん」


自画自賛している人みたいになって恥ずかしくなった。そうか、この子も俺が創ったのか。

宿屋に入り、床に就く。目が覚めればまた仕事が待っているが、現実なんていつでもそうだ。目を閉じゆっくりと呼吸すれば自然と意識は沈んでいく。


小鳥の鳴き声で目がさめる。シンプルすぎる天井は馴染みのないものだ。窓から差し込む光は眩しく、二度寝を許さない。起き上がり欠伸をすれば、手の感触で目覚まし時計を探すも見当たらない。おかしいなと見てみれば不自然にまでかくかくとしたクロゼットと、何に使うか分からない謎の宝箱が置かれていた。一気に意識が覚醒し、俺はベッドから転げ落ちた。

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異世界転生できたのだから夢オチだけは勘弁してくれーリセットー 磁石もどき @jisha9m0d0k1

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