筆を折ったわけだが

 電撃大賞を諦めた後、小説を書こうなどと考えることはありませんでした。「ああ、今年も電撃大賞の締め切りが近いな」などと思うことはあっても、特に筆をとることはしなかったのです。


 じゃあ小説を読むくらいのことはしていたのかと言えば、それもノーです。たまに大学生協や本屋で気になった本を買ったりはしていましたが、積読することがほとんどでした。新しく読んだのは「エロマンガ先生」くらいでしょうか(これも伏見つかさ先生の作品である)。


 漫画やアニメはそれなりに楽しんでいたと思います。徹夜で試験を受けた後に寝ぼけた頭で「五等分の花嫁」の映画を観に行って泣いたり、「メイドインアビス」を読んで何とも言えない顔をしていたりしました。他に気に入った漫画と言えば「最終兵器彼女」とか。まあ、例を挙げたらきりがありません。


 最近になって指摘されたのですが、私の小説は良くも悪くも「漫画的」だそうです。今思えば、この頃のインプットが漫画本に偏っていたのもその一因かもしれませんね。


 とにかく、私は創作というものを一切行わない普通の大学生としての日常を過ごしていました。周りの同級生が同人誌なんかを作って売っているのをボーっと眺めているばかりでした。別に羨ましいとも自分もしたいとも思っていなかったと記憶しています。


 しかしある日、私を小説執筆へと誘う出来事が起こります。本当に些細なことでしたが、私は再びライトノベル作家を目指す道へと導かれていくことになるのです。

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大学生がラノベ作家を志し、筆を折り、再び書き始めるまで 古野ジョン @johnfuruno

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