外伝初めての殺人黙示録 龍のメモリーより
機画LM
第1話
これは黙示録だ殺人記録でもある君は犯罪を侵した愛している人を自らの力で殺すと言うのは文字で表すと意味不明だかやっている側に立つとよく分かるものだ手に届く範囲にいるのに絶対に届かないどんなことをしてもだそうなるとこのような人が生まれても仕方のないことなのでは無いだろうか、傷は永遠に癒えることはないその唯一の方法さえ自ら絶ってしまったのだから、以下の文はメモリーを用いた初めての殺人事件の内容と犯人の独白だ。
あの日雨が降っていたんだ、永遠と降り続くような雨その一粒一粒が私の心の傷口を刺すかのように降り注ぐ、もう全員帰ったであろう校舎内には、雑音1つ響かない、聞こえてくるのは雨音と私の独白だけだ、私は読んでいた本を閉じ昇降口へ向うと一人の男女が相合い傘をしながら帰路につくのが見えた、否見えてしまった男はまるっと太っておりそこまで人気があるわけでもない仮名だ一方男とは対象的にスラッとしたスレンダーな体型の彼女が仮名だ、私の想い人でもあった、これは過去形だ、男女が惹かれ合えば双方は良いかもしれないが周りからしてみれば途端に男として女として価値のない人に成り下がってしまう、駅や電車で見かける一瞬でも可愛いいと思った人は大体彼氏か彼女がいる、ふざけるな私はそう思ってしまう、窓越しに見た憎たらしいアベックを横目に私は自分のロッカーに向かった、テストが近いので教材を持って帰えるためだ、ガチャと建付けのやや悪いロッカーを開けると[貴方は選ばれました]と書かれた紙と[destroy]の文字が掘られたペンが置いてあった、出来の悪いイタズラかとも思ったがこんな手の込んだイタズラがあるのだろうかとも疑りたくる出来の良いペンだ、ノックを押しても何も無い、ビリビリペンの類でもないようだ、バカバカしいとペンをゴミ箱に投げ入れ教材をバックに詰め込みロッカーを後にした、廊下には1つ私の足音2つ雨音のみが響く、まるで時が止まったかのようなメビウスの輪がそこにあるような溢れ出る時があるそんな空間が無駄に広く感じた、雨が降っているせいかやけに寒い昇降口につく頃にはすっかり冷え切っていた、私の事を温めてくれるのは...無いな
孤独という冷気はどんなに外気が暑くても温めきれないいや孤独というより虚空かな、こちらもやや建付けの悪い戸を開け外履きを取り出す、もうすっかり枯れきった木が湿り露を垂らす様を見ながら自転車置き場へと足を向ける、途端憎悪が湧いて溢れ出しそうになるあのカップルがいたからだ、早々に帰れば良いのもを軒下で話し込んでいると思ったら歩き出した、相合い傘をして正面口に向う姿が目に写った、憎悪に反応したのか右のポケットがバイブした(そういう事か)運命かもしくは、時がそうしたのか[destroy]私は、考えることもせずメモリーのノックを押した、手の中で複雑な技工が絡み合いやがては一枚の面となって手に収まった、溢れ出るような闇がオーラとなって可視化されているように見えた、もうここまで来たら戻れないぞと言われているように、私は一瞬迷った、逆恨みではないか、かっこ悪くないか、気持ち悪くないか、このまま彼女の幸せを願うほうが良いのではないかとも思った、思えば想うほどこれを使うのは得策では無いという思いが強くなってきた、それと反比例するようにその面を顔に近づけていた、近づく程に、彼奴等もろとも、彼女は私が、あんなやつの何が、という思いに飲まれそうになる、いやもう良いのかもしれない、どうあがいたところで彼女は私に振り向かない、その様な女は無価値だ無価値な物を残しておくほどの義理はない、視野がどんどん狭くなる、面を完全に顔に装着させると今までに感じたことのない感覚に襲われた、この世の全てが判るような時さえ支配できるようなそんな感覚とに包まれ、私の深淵とメモリーが結び付きあの二人を殺すという決断を下した
一歩足を出した雨に滴るうっとおしい感覚も無い、2歩目を出した、ポシャっと水たまりに波紋を広げ景色を歪めた、恥かメモリーの特性か分からないが少し離れた位置から構えた、腰に携えた刀を抜き狙った訳では無いが傘を断じた、「えっ何」「傘が折れちゃった」眼光の先には彼氏の方が先に見えた、地表付近にあった刀を返し彼の左腰から右肩にかけて切り抜いた、突っかかるかと思ったが滑らかに切り抜けた、切れた胴の僅かな滞空時間に刀を突き出し顔面を指した後地面に突き立てた、まるで作業をするかのように無心で、いや複雑に絡み合いすぎて遠目で見たらなにもないだけかもしれないが、とにかく目の前の事象を異常と認識することは出来なかった、むしろ世界が正常に戻った気さえする、「えっあっえっ〇〇ちゃん?」彼女が彼氏の名を呼んだ、異常に癇に障った、ザッと彼女が後ずさりする音が雨音混じりに聞こえた、私を恐怖の対象として認識したからだろうか無理はなかろう、私は彼女の背にを取った、彼女の背は美しいパンと張ったブレザーが彼女の背の美しいさをより際立てている
やや左寄りに刀を突き立て、痛みを感じることはあっただろうか愚かな私には分からない「あ゛っあ゛」刺したときの感覚は分からない一心不乱だったし視野狭窄だった、彼女の今にも折れてしまいそうな細い身体を滴る血とすっかり力の抜けた指先を見て、ようやく自分のさたことの重大さを理解し、たじろいた、驚くほど滑らかに刀が抜け、防御姿勢を一切取らずそのまま倒れ込む彼女を見て、じわじわと恐怖心が滲み出てきた。
これが世界で初めてのメモリーを用いた殺人事件だ。
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悲しみ、喪失感、恐怖心、絶望、陰気、それら形容しがたい劣感情にメモリーが反応したのか分からないが体から赤黒いオーラが漏れ出ていた、今一度彼女に目を向ける、ピクリとも動かず、開いた瞳孔が虚空を見つめ、血の池に浸かっている、奇しくも向かい合っているように倒れていたので、首の向きを直そうと彼女の今にも折れてしまいそうなほど細い首から伸びる頭に触れようとしたところボロッと崩れ落ちてしまい頰の一部が赤黒くなり落ちてしまった、彼女を汚してしまったとひどく後悔すると同時に、もう触れられないのかと人外になったかのようなありとあらゆる言葉を持ってしても、形容しきれない思いに溺れていった、この思いどうしようかと思考を巡らす、その結果刀を握る右手に力が籠もっていた、それは理性という門をこじ開けるには十分であり、感情という川がドッと溢れ出た、鉄筋とコンクリートが崩れ落ちる音も、本来なら腹に響き誰もが驚く爆音が響くはずだか、その程度では驚かない、跡形もなく、先程まで居た1棟が崩れ落ちて瓦礫の山になる様は、自分でやったという自覚がありながらも内心恐怖していた、それと同時に現実も押し寄せてきた、明日からどうしよう、学校を壊してしまった、もし人が下敷きになっていたら、下敷きになっていなかったとしても、私はもう人を殺している、二人も、故意にいや恋が、どうしようどうしよう、警察かな、親かな、先生、どうしようスマートフォンの電話番号のキーに110の数字を入れコールを押そうとしたその時、今までの思考を全て溶かすような神々しい光が雨雲を引き裂いて降ってきた、私は思考を忘れただ立ち尽くした、かぐや姫のラストを彷彿とさせるようなシーンだ、不意に人型のシルエットが4つ取り囲むように私の前に現れた、たまたま私の正面に居た女性型のそれがこういった「この世界は終焉を迎えようとしています、止められるのは貴方はだけです」ヒーロー作品のヒロインのような物言いだ、「どうしたら良い?」言葉もなく一冊の本を取り出した、雨は降っているのに不思議と濡れる気配はない、そんなことはもはや気にもならず、女性は「念動力」の文字をなぞった、不思議とその文字が光り、枠を形成し、情報が流れ込み新たなメモリーが生まれた、女性はそれを手に取り私の方に差し向けた、彼女の手はとても優しく滑らかな手だ、メモリーには「interference」と書かれていた、またしても言葉もなく一枚のカードが渡された「これは」「扉の役割を果たす」と今度は男性の声で言われた、男は更に続けた「ここで言う5ヶ月に一度のスパンで、扉の向こうで会議が執り行われる」「会議ってなんだなにをすれば良い、どうすればお前たちみたいに成れる」背面に居たもう一人の女性の口が開いた「仲間を増やして下さい、それは我々の同志、欲に溺れず、研鑽を重ね、堕落なく平和で静かな世界を創りましょう、そのための"世界の記憶"です」彼女は本を指差しそう言った、この本が''世界の記憶"なのだろうか、このメモリーを増やせということかと、手にあるメモリーを見つつ、女神の声に耳を傾けた「扉の先には、他の世界の管理者がいます、貴方は今この世界の管理者の資格が与えられました」管理者が居るのか、そいつ等と話し合って現状を報告し合うのだろう、地方自治なんかでもよくある会合だ「龍、神と成りなさい、さすれば扉は開き道は登ります」何だかフワッとした現実味のない話しだ「どうして、私なんだ」核心をついたつもりだ「人を超えたからでしょうか、メモリーを使い、人間とは思えないほどの多類な感情に絡まり、メモリーで、愛する人を殺す、人を超えたというのはそういうことです」まったく持って意味不明だか、最後にもう二つ聞く「さっき神と言った、お前たちは神?」「えぇそれが何か?」ごく当たり前かのような物言いだ、私は感覚が麻痺しつつあり、願い事やすがったりなどはしなかった「神になったら、どんなことでも出来るのか」一番最初に話した女性に変わった「肯定します、貴方の思うがまま、神に成れるばですが」「俺は、神に成るさ、これを蔓延させればいいんだろ」そう言うと、光の道がまたもや現れ、神達は天へと登って行った。その頃からだ神を目指すようになったのは、向かい合う二人に憎悪の念を向けながら、雨に濡れた手を向けた、ドッと体温が上昇し思考がとろけ体がぐらついた、体を支えようと踏み出した時には、桜の舞う正門前にいた、美月が一人で登校しているのが横目に写ったいやそれ以外の生徒もいたがモヤがかかっておりもはや彼女しか見えなかった、携帯の日付を確認する、去年の4月10日だった、一歩踏み出そうとするとまたあの感覚に襲われる体温だけでなく吐き気めまい立つこともままならない程に崩れ落ちた、視界がぼやける中で「interference」のメモリーが目に写ったのが最後だった。
「おっ起きた」「大丈夫か」二人の女性の声が聞える、痛みや諸々の体調不良は治っているように見える「ほら飲んどけ」スポーツドリンクを渡された、一瞬彼女の手に触れてしまいスポーツドリンクがスポッと手から落ちてしまった
、しかし予想に反して彼女は崩壊しなかった「すみません、ちょっと緩んでて」「あぁいいぞ、具合はどうだ」「大丈夫そうです」ぐっとスポーツドリンクを流し入れる、体の内側に溜まった泥が一気に流れ出る爽快感に見舞われ、一気に元気を取り戻した、これがスポーツドリンクのおかげなのかプラシーボ効果なのかわからなかった。
その日はもう日もくれていた事もあってかすぐに帰った、時間逆光の代償だろうか、だとしたら軽いのか重いのか分からない
「それじゃ今年もよろしくお願いします」昨年度に引き続き、酒井先生が担任となり男子達は喜んでいた、妙な既視感に本当にループしていることを信じつつあった、確かこのあと放送で長々しい校長の話が始まる、そう思っていた矢先チャイムが鳴った、体感2回目の校長の話が始まる、酒井先生も流石に寝始め、前列の男子がスマホで寝顔を隠し撮りするところも既視感がある、この空間全て既視感だらけだ、確信に変わった唯一違うのは…下校の時間となりクラス全員が教室から居なくなった、その中で一人メモリーを机の上に出してみた「destroy」のメモリーを手に取り眼前に置いた、モヤッと黒煙が首を掠めたイメージが浮かんだ、こいつを使っちゃいけない、そう本能で感じた、今度こそ殺さずにかつ効率的に彼女を手に入れたい「interference」のメモリーを手に取る、無意識に廊下の扉に目が向いた、まるでそこになにかあるように必死に見開いて見つめた、視界が狭くなり、ギィと重い音が鳴るのが見えた、すぐにメモリーをバックに押し込み、帰り支度のフリをした、幸いたまたま通った先生で入ってくることはなかった、そのまま帰ることにした。ここまでメモリーについて、で分かったことが3つある、1つは目を凝らせば未来が見えること、2つ目は仮面をつけなくても力はある程度使えること、3つ目は時間を巻き戻せるということ、3つ目は代償があること、何度も何度も味わいたい感覚ではない。
ロッカーを手で開け、靴を指差し引っ張った、靴が浮きそのまま地に落ちた、あまり人前では使わないでおこう、このフルスペックで残りの時間を彼女に向けることができれば必ず彼女は私のものになるはずだ、何度かかってもどれだけかかろうと必ずものにして見せる、美月あんなやつのものになんかさせない、すっかり空も暗くなり気温も低くなっていた、野球のスタンドライトと古びた電灯がチカチカ光っているだけで詳しい情報は入ってこない、唯一夜桜を照らす光が目に映るの情報だけだった。
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