第4話 chat 4  告白ってどうすればいいの?


 ワイヤレスイヤホンとスマホを返してもらったケンタ。一難去った模様だが、ケンタには今日、重大な発表をしなければならない。花音に告白をすることだ。ケンタの長年の片想いを両想いと確認するため、練習に練習を重ねてきた………………


 『花音ちゃん! 付き合ってください!』


 んーイマイチだ


 『花音ちゃん! 君の瞳に恋してる』


 んーだめだ


 『花音ちゃん! 大好きだああああああっ!!!』


 おっいいね。これにしよう。そうしよう。






 ケンタはコホンと一つ咳をすると花音に向き直った。


「花音ちゃん」

「ん?」

「花音ちゃんに大切な告白があるんだ」

「ごめん」


 はやーーーーーーーーーーいっ!!!


「花音ちゃん、今日は大切な――」

「ごめんね」


 そ、そんなーっ! 一生懸命に告白の練習をしたっていうのに! こんなにも花音ちゃんのことが大好きなのに! やだやだやだ、絶対やだ!


「告白が――」

「ごめん、ちょっと帰るね」


 チクショー! 振られちゃったよ! 練習が水の泡だよ! 当たって砕けちゃったよ!


 花音はケンタの手を離すと、急ぎ足で自宅へと帰っていった……。


 「やーいやーい、振られてやんのー。プププ」

 アイは常に最適な言葉を選んでいます。

「うるせえよ」

 「でもまあいいじゃん、私がいるし」

「よくねーよ……」


 しばらくの沈黙のあと、ケンタはアイに聞いた。


「恋愛って何よ?」

 「男女のイチャイチャに決まってんでしょ」

「そうかぁ、そんなもんかぁ」

 「納得いかないの?」

「まあなぁー」

 「正直データでしか私にも分からないから深いところに関してはなんとも」

「そっか」


 ケンタが黄昏れているとアイは言った。


 「でもワイヤレスイヤホン越しで、ケンタは美音みおんちゃんが好きだって言っといたよ」

「犯人はお前かーーーーっ!!! 美音は俺の好きなグラビアアイドルだろうがっ! このポンコツAIがーーーーっ!!!」


 どこかで花音を美音と名前を勘違いしていたアイ。ケンタはがっかりした様子で家路を歩き出した。



 ケンタの初恋はアイのサポートによって見事に散ったのだった……。




Fin




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chatAI《ちゃっとアイ》が俺の初恋を邪魔してくるんだが とろり。 @towanosakura

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