第3話 chat 3 こんな時どうしていいか分からない
花音は泣き続けた。怖さがフラッシュバックしなかなか泣き止むことがない。
「花音ちゃん」
「ふぇ?」
「もう心配ないよ。悪い奴はもういないから」
「ふぇ? ふぇーーん!」
花音ちゃんの胸が! ぽよんぽよんがーーーーーーっ!!!
公園のベンチで花音を慰めていると周りの人たちが変な目でケンタたちを見始めた。
「ケンタ、あんたのいかがわしい心が周りの人に読まれているわよ」
「こんなことは……決して……!」
「ぽよんぽよんが当たって嬉しいんでしょ?(笑)」
「そ、それは……」
「今が花音ちゃんのおっぱいを触るチャンスよ」
アイは常に最適な言葉を選んでいます。
「し、しかし……」
ワイヤレスイヤホンから聞こえてくるアイの悪魔の囁きに苦悶していると、花音はきょとんとした顔でケンタを見始めた。
「? ケン君どうしたの?」
「い、いや何でも、な、、い、……!」
ケンタは花音に振り向いた時、ワイヤレスイヤホンを片方落としてしまった。ケンタはすぐに拾い上げると、何でもない何でもないと誤魔化した。
ケンタは手をブンブンと思いっ切り振って否定した。花音はそれを見るとぷっと噴き出して、「扇風機みたいだね」って言った。
か、花音ちゃーーん! 俺は君の扇風機になりたい……!キラッ!
「ところでなんの曲聴いてるの? 私も聴きたい」
「い、いや、音楽を聴いてるわけじゃないんだ……」
「え? じゃ何でワイヤレスイヤホンなんかしてるの?」
「そ、それはそのぉ……」
次の言葉を探しても見つからず、結局――
「声が聞こえるんだ」
はあーーーーーーーーーーーーっ?! 何言ってんの俺ぇええええええっ!!!
「幻聴?」
誤解されてるぅぅぅぅっ!
「大丈夫?」
逆に心配されちゃったよおおおおっ!!!
「違うんだ。いや違くはないんだが、その、あの、その」
「あ、分かった! 電話でしょ!? 当たり?」
「え? あ、ああそうそう電話、電話なんだ」
「えっと誰と電話してるの?」
「えっと……あ、」
「あ?」
「姉?」
「なんで疑問形(笑)」
「ははは……」
「ケン君ってお姉ちゃんいたっけ?」
やばいヤバイヤバイやばんヤパイはやいはやしやばすやばばばばばばばばばばっ!!!
「ご、ごめん。ずっと話してなかったんだけど……」
「話させて?」
え? えーーーーーーーーーーー!!!
「繋がってるんでしょ?」
確かに繋がってますけどおおおおおおっ!
「挨拶だよ挨拶♪」
花音ちゃんテンション上がってるぅぅぅぅっ!!! ハイテンションッ!!! ダメージ2倍ッ!!!
「だめ?」
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイッ!!!
会話してるのがchatAIのアイだってソッコーでバレる!
どうする!! どうするんだ俺ーーーーっ!!!
「俺の姉、人見知りなんだ」
あふぉかっ!!! 一回死んでこい俺!!!
「いいじゃん、いいじゃん♪」
花音はワイヤレスイヤホンとスマホを横取ると「初めまして」とご丁寧に挨拶をした。
アイは「初めまして」と返して花音の質問に適切な答えを返していった。アイはケンタの姉を偽装し、そしてそれを最後まで貫き通した。花音はアイを本当に俺の姉だと思っている……。
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