ランプの魔神
@thalasso_prime
ランプの魔神
宝石を散らしたような星空だった。盗賊は砂漠の真ん中に独りぽつんと立ち、青黒い夜空に輝く一等星を見つめていた。
やってしまったな。盗賊の体が震えているのは、昼とは一転した砂原の厳しい寒さのせいではない。ひどい恐れと、後悔と、これから先に起こることへの期待からだった。伝説は本当だろうか。もし本当なら、盗賊の人生の成功は約束されたも同然だ。だが、もし全てが、ただの伝承かおとぎ話か、誰かの吹聴したホラ話に過ぎなかったら?
盗賊は手に持ったランプを握りしめ、柄にも無く、天上に住まうと云われる神々に祈った。
「どうか、これが本物でありますように」
ここまで逃げてくればもう追手は来ないだろう。いくら親分が執念深くても、こんな真夜中に、たった一人で砂漠に消えていった宝物と、取るに足らない下っ端のために、そこまで固執する理由も無い。朝日が昇る頃には、愚かな裏切り者は砂漠のミイラの仲間入りだ。そんな愚か者のためにミイラを盗りのミイラになってやるほど、親分は人情に厚くはない。
盗賊はランプを握りしめ、左手でその蓋を擦ろうとするが、震えが止まらない。怖いのだ。賊の一味を裏切り、真夜中の砂漠を駆け抜けて、全てをかなぐり捨ててここまでやって来た。もし何も起こらなかったら、自分はその後どうすればいい。
愚かな盗賊は、子どもの頃に聴いた昔話を信じて、恐ろしい親分の宝物庫から金品をくすねた。金目の物に見えたからでは無い。むしろ、そうであればまだ言い訳も立つのかもしれない。
ランプの魔神の伝説を確かめる。そしてあわよくば、その魔神の力を自分だけのものにするために、盗賊はそれを盗み出した。そんな夢物語のために、自らに残った全てすら投げ出して来たのだ。「そんな夢みたいな事は、起こる訳もありませんでした」などというオチでは納得できるはずも無い。もしそうなった時に盗賊に出来ることと言えば、自らを嘲笑しながら、迫る死の恐怖と寒さに身を震わせ、身体の感覚が無くなっていくのをじっと待つことくらいだ。
そんな絶望を味わう可能性を背負うくらいならば、いっそのこと、今すぐにランプなど投げ捨てて「これは酸っぱいブドウだった」と自尊心を保ちながら死んだほうがまだマシではないだろうか?
盗賊はそんなことを考えながら、盗み出したランプを眺めた。黄金に輝くランプには唐草模様と、見慣れない、髭面の男の彫刻が刻まれている。濃い眉が繋がりそうなほどに太い、どこか不気味な雰囲気の男だ。よもや、ランプを擦ればこの顔をした魔神が現れるのではあるまいな?
そんな、まさか。盗賊はふっと笑った。そう考えると不思議と気持ちが軽くなり、まるでさっきまでの自分の悩みが、何かどうしようもなく些細で、馬鹿馬鹿しい事のように思えて来た。四の五の考えずに、まずは試してみればいいじゃないか。何も起こらなければ、その後のことはその時に考えればいい。
盗賊はランプに手をかざして、演技がかった仕草で、仰々しくそれを擦り始めた。間抜けなことをしているな、と嗤いが込み上げてくる。盗賊は敢えて、髭面の男の彫刻部分を入念に擦ってみた。「お前なんだろう、出てこい、魔神」と心の中で何度も唱えた。擦っているうちに、気のせいだろうか、彫刻の顔が少しずつ笑みを含んでいくような気がした。
盗賊は目を瞬いた。気味が悪い。爪の間が黒くなった指をもう一度当てて擦れば、わずかに彫刻の頬が持ち上がったように見える。これは生死の縁を彷徨う自分が作り出した幻覚なのだろうか。いや、だが先程よりも僅かに、しかし、確かに。男の頬はわずかに歪んだように見えてならなかった。
真偽を確かめようと、盗賊はさらに顔の彫刻を擦った。ランプがじんわりと熱を帯びてくる。黄金の輝きが少しずつ明るくなり始めたが、盗賊は彫刻の顔に夢中で、その変化には気付かない。さて、顔はどうだ?と盗賊が擦るのを止めたその時、ランプの口からまばゆい光が湧き出した。目の前で花火が破裂したような爆発が何度も起こって、盗賊は驚いてランプを投げ出す。砂の大地に落下したランプからはもくもくと青い煙が湧き立ち、やがて、その中から巨大な筋肉の塊が姿を現した。盗賊は腰が抜けてその場に倒れ込み、四つ足の格好になって必死に後退りした。
「よくぞお呼びくださいました、御主人様」
腕組みをした巨人は、太い声でゆっくりと盗賊に話しかける。「本物だったんだ…」と、盗賊は蚊の鳴くような声でつぶやいた。さて、その魔神の顔はと言えば、確かに髭面ではあるが細く整えられていて、刻まれた彫刻の男とは似ても似つかなかった。
「貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
「…3つまで?」
盗賊は震えながら、やっとの思いで声を上げた。
「いいえ?回数に制限など御座いません。貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
ランプの魔神は不可解そうに眉を上げて、全く同じトーンの声で繰り返した。
「だ、だったら…ええと」
実際に訊ねられると、咄嗟に気の利いた答えは出てこないものだ。金持ちになりたい、女が欲しい、俺を散々こけにしてくれた親分や兄貴分たちに、砂に顔が埋まるまで頭を下げさせてやりたい。いくらでも叶えたい願いは思い浮かぶのに、その気持ちばかりが洪水のように押し寄せて来て、逆に頭が停止してしまう。
「ええと…お前の顔、ランプの模様と全然違うな。それはお前の顔じゃねえのか?」
なぜそんなどうでもいい事が口から出たのかと、盗賊は心の中で自分をなじった。質問するにしても、もっとふさわしい内容があるだろうに。
「いいえ、それは私では御座いません。私とランプを作り出した、世界で最も偉大な魔法使いの御尊顔に御座います」
盗賊は「ああ、そうか」としか答えなかった。自分で質問したことだが、その回答にさしたる興味は湧かなかった。
「ところで、願いはいくつでもいいと言うのは本当だろうな。もし嘘だったら、ただじゃおかねぇぞ」
盗賊は息巻いて指を立てる。だが、もし嘘だったとしても、果たして魔神を相手にいったい何ができるのだろうか?そう考え直すと、盗賊はバツが悪そうに指を引っ込めてから「…どうなんだよ」と控えめに訊ね直した。
「滅相も御座いません。私の言葉に、ひとつとして嘘偽りなど御座いません。百であろうと、千であろうと、貴方様の望みであれば全て叶えて差し上げましょう」
「じゃあ…例えば十億個だろうと?」
「貴方が望むなら」
盗賊はしばらく呆然としていたが、やがて肩を震わせると、くっくっくと不遜に笑い始めた。
「じゃあ、まずは手始めに金だ。俺を金持ちにしてくれ!」
魔神は組んでいた腕を広げて「お望みのままに」と低い声で囁いた。指の先から手首までが淡い青色に光り始める。魔神がそれを振るうに従って、空中に光の筋が描かれた。そうしてぱちん、と掌を合わせると、何もない空間から金銀財宝や美しい美術品が瀧のように溢れ出し、盗賊の周囲はあっという間に大富豪の自室のような風景に変わった。
すごい、すごいぞ!盗賊は大喜びで手を叩いた。
「だが、順番を間違えたな。こんな砂漠の真ん中に金があっても意味がねぇ。おい、これは一旦しまっておいて、先に俺を街に帰してくれ。俺が命令したら、すぐに同じ物を出すんだぞ」
魔神は眉一つ動かさず「仰せのままに」と答えて指をぱちんと鳴らした。すると、今の今までそこにあった財宝の数々が一斉に青い煙となって消え去り、気が付けば、盗賊は真っ暗に静まり返った街の広場の真ん中に立っていた。
「えっ…」
盗賊は一瞬の出来事に、自分の目を疑った。周囲を見渡せば、そこは間違いなく見慣れた街の風景だった。自分の身に起こった出来事が全て夢か幻だったのではないのかと、盗賊は恐ろしくなって青ざめる。
「ランプは…ランプはどこだ!」
盗賊は忙しく首を左右に振る。駆け出そうと一歩踏み出せば、何かがごつんと足の指にぶつかった。なんだ、と足元を見れば、不気味な男の彫刻が施された黄金のランプがすぐそこにあった。
盗賊は急いでそれを拾い上げた。ジャケットの内ポケットにそそくさとランプを仕舞い込むと、誰にも見られていないだろうな、と周囲をきょろきょろ見回した。月さえ沈んだ真夜中だ。幸い、近くには人影のひとつも無い。盗賊はふぅと安堵して、内ポケットをぽんぽんと叩く。そこにランプが入っていることを確認すると、今度は浮足立った調子で夜の街を駆けて行った。
彼がランプを盗み出してから、半年の時が経とうとしている。
かつて盗賊だった男、今となっては街一番の富豪は黄金の椅子に腰掛け、美女を何人もはべらせながら、真っ赤に熟れた赤い果実を齧っている。白い絹の天蓋が風に揺れる。女達は、富豪が果実を貪る様を愛おしそうな目で見つめている。富豪は顎を動かしながらしばらく黙っていたが、ううん、と眉間に皺を寄せると、禄に口も付けていない果実をぽいと投げ捨てた。果実は巨大な純金の獅子の彫刻にぶつかり、赤い果汁を周囲に飛び散らせた。
一人の女が富豪の首筋を細い指で撫で「どうしたの?」と甘い声で囁くが、富豪は見向きもしないどころか、表情ひとつ変える様子もない。今日だけでも、富豪はすでに三度の射精を済ませていた。どれだけ美しい女が誘惑してこようとも、まるで満腹になった直後に揚げ物の山を差し出された時のような、うんざりとした気分になるだけだった。
富豪は立ち上がって、バルコニーへと歩いていく。女たちが名残り惜しそうに彼の手を引こうとするが、富豪はそれを意にも介さない。
扉を開ければ、街を一望する美しい眺めが広がっていた。空は快晴で雲一つ無い。下方からは商人たちの活気に溢れた、賑やかな街の喧騒が聞こえてくる。しかし富豪の顔色は晴れやかではない。むしろ仏頂面とも言って良い顔だ。富豪は手すりまで歩いていき、退屈そうに頬杖をつくと、唾と共に果実の種をぷっと外に吐き捨てた。
「魔神、いるか?」
富豪は気だるそうに、ぶっきらぼうな調子で訊ねた。バルコニーの隅に置いたテーブルの上、黄金のランプがカタカタと音を立てて揺れると、わっと湧き出した煙と共に魔神が姿を現した。
「何か御用でしょうか、御主人様」
厳しい訓練に鍛え上げられた戦士のような、屈強な巨人が腕を組んで訊ねる。富豪はしばらく遠くを見つめたまま、何も言い出そうとはしなかった。目を瞑ってふんと鼻を鳴らすと、富豪は諦めたように魔神の方へと顔を向けた。
「なぁ、正直に言って、最初はお前を疑ってたんだ。どっかのタイミングで、『願いはこれで御仕舞です』なんてことを言い出すんじゃないかってな」
「滅相も御座いません。始めに申し上げた通り、私の言葉に一切の嘘偽りは御座いません」
「ああ、その通りだよ」
富豪は半分、呆れたように笑うが、それに対して魔神が何か返事をする事はない。もちろん、眉の一つも動かさず、表情が変わることも無い。
「お前に、あのクソみたいな親分をとっちめて貰った時には、胸がスカッとする思いだったよ。あいつ、最期は情けなかったよなぁ。散々、見下していた俺に命乞いまでして、金はいくらでも出すとか、実はお前のことを買っていたんだ、とか。妙な言い訳をペラペラ並べてさ」
富豪は思い出話のように魔神に語るが、魔神は「お役に立てて何よりです」と頭を下げるだけだ。
「ムカつく奴らは皆殺しにした。どっちが偉いかわからせてやった。でも、そういう奴らが皆いなくなっちまえば、それはそれで張り合いがねぇよな」
富豪は空を眺めながら独り言のように語る。
「いい女も山程抱いた。特に気に入ってる奴は、こうして俺の近くに置いた。俺が望めば、いつでも好きな時にヤれる。でも何発かヤっちまえばなぁ。もう奴らの顔を見るだけでもうんざりする」
魔神は特に何も返事をしないまま、ただ主人が次に何を願うのかを待っている。
「美味いモンも山程食べた。でも、もう飽きてきたな。そもそも、世の中にはそんなに飯の種類があるわけじゃねぇ。美味いモンってのは、だいたい甘いか、しょっぱいか、臭ぇ。それだけだ」
富豪は疲れた顔で魔神を見る。魔神はそれに対して、何かを言い出すこともない。
「なぁ、教えてくれ。俺はこれ以上、どうやったらもっと幸せになれるんだ。もっと良い思いをするには、一体、俺はお前に何を望めばいい?」
街の喧騒が聞こえてくる。小さな鳥がちよちよと鳴声を上げながら飛んでいく。そよ風が、民家の壁に掛けられた洗濯物を揺らしている。魔神は何も言わなかった。石像のように動かないまま、時間が止まってしまったように、富豪と目を合わせ続けていた。珍しいな、と富豪は魔神を見つめるが、あいも変わらず、魔神は顔の筋肉のひとつも動かすことはない。
「それは、貴方の望むままです。貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
しばらく待って返ってきたのは、延々と使い回された、同じトーンの定型句だけだった。富豪は溜め息をついて「そうじゃねぇんだよなぁ」と頭を掻いた。
青い空には雲一つ浮かんでいない。まるで、自分の頭の中のようだ。こんなに暇な時間はあるのに、いいアイデアは一向に浮かんでこない。しばらく頭を捻ったのち、富豪は「そうか」と閃いて手を叩いた。
「じゃあ、こうしてくれ。お前の思いつく限りで、俺を一番幸せで、ハッピーな気持ちにさせてくれよ。やり方はなんでもいい。こう願えば、お前は俺の望みを叶えてくれるんだろ?」
富豪がそう言うと、今度は打って変わって、魔神はすぐに反応を返した。
「お望みのままに」
魔神の指先が青く輝き始める。もはや、富豪にとっては見慣れた、見飽きたと言ってもいい光景だった。富豪が何かを願う度に、魔神はこうして手を青く光らせ始める。
だが、これから先に何が起こるのかはわからない。富豪は魔神の力を借りて、今やこの世の全てを手に入れた。世界中のいい女を抱いたし、美味い飯を食べ尽くしたし、海に、山に、観光地に、あらゆる場所を旅して回った。これ以上無いほどの快を満たした富豪に、果たして全能の魔神はどんな物を見せてくれるのだろうか。そう考えると、いつ以来だろう。富豪の心に期待や興奮、ワクワクとした気持ちが溢れてきた。
魔神の腕が振るわれるたび、青い光が線になって空中に描かれる。さて、何が始まるのだろうと、富豪は魔神の動きに注目している。魔神の指先に小さな、青い電流がほとばしったかと思うと、巨大な指先が富豪の頭部をぐいっと掴んで固定した。
「何をしやがる…」と富豪が言い掛けたのも束の間、一瞬にして、もうそんなものはどうでも良い、取るに足らない、くだらない出来事に変わった。そして、そう思った記憶すらも頭の中に溶けてしまって、それが何であったかすら一瞬にして思い出せなくなった。だが、富豪には一つだけ確信があった。
「幸せだ」
あらゆる乾きが満たされるような幸福感と、どんな娯楽よりも刺激的な快感が富豪の頭の中に満たされていく。それが何によってもたらせれているのか、富豪には皆目、見当もつかない。だが、別に構わなかった。
そんなことはどうだっていい。富豪はただ、この幸福と快楽の世界にずっと浸っていたいと思った。それ以上の事は何も望まないし、この状況から一歩も外に出たくはない。いつかは終わってしまうんじゃないか、という一抹の不安を孕んだ考えすらも、湧き出すや否や、押し寄せる幸福と快楽の波に呑まれて消えていく。
富豪は虚ろな目で、魔神に頭を掴まれたまま静止している。魔神の指からは微弱な電流がパチパチと流れ、頭蓋骨を素通りし、富豪の脳の神経回路を直接、刺激し続けていた。
不安に思った女たちがバルコニーに駆け出てきた。富豪の肩を揺するが、富豪が反応する様子は無い。まるで密林の奥地のシャーマンのように虚ろな目をして、揺さぶられるがままにするだけだ。女のうちの一人は半狂乱になり、魔神の手から男を引き離そうと掴みかかった。だが、直後その女は、一瞬にして青い煙へと変わってどこかへ消えてしまった。
「御主人様の望みを邪魔してはいけません」
魔神は低い声で、しかし威圧的という訳でもない、諭すような口調でそう忠告する。女達は一斉に悲鳴を上げ、我先にと屋敷の階段を駆け下りて、逃げ出して行った。
これで御主人様の幸福を阻むものは無い。魔神は表情こそ変えないが、少し安堵した様子で、富豪の脳に微弱な電流を流すことに再び集中した。
富豪がそんな状態になってから三日が過ぎ、一週間が過ぎ、そして十日目の夜が過ぎようとしている。
富豪はあいかわらず虚ろな目をしたまま、魔神の手の中で脳をまさぐられ続けていた。肥満気味だった体はいつの間にかミイラのように痩せ細り、頬はこけ、髪の毛は染み出した皮脂によってべっとりと光っている。だが富豪にとっては、そんなことは取るに足らない、些細な問題に過ぎなかった。富豪は今、幸福と快楽の海に肩までどっぷりと浸っていて、その幸せを享受している。ならば、そんな事に構う理由が一体どこにあるだろうか?
魔神は何も変わらない様子で、じっと富豪の脳に電流を送り続けていた。魔神にとっては、一日も、一週間も、一年すらも、さほど大きな違いは無い。魔神は主人の命ずるまま、ひたすらにその使命を全うし続けていた。
ふとした瞬間、魔神は指先に走る電流をぴたりと止めた。指先の青い光は徐々に暗くなっていき、本来の魔神の肌の色へと戻っていく。魔神は確かめるように頷くと、十日のあいだ掴み続けていた富豪の頭から手を離した。富豪は泥人形のようにその場に崩れ落ち、虚ろな目を半分開いたまま、ぴくりとも動かなかった。魔神は、彼の最期の瞬間まで、彼に付き添い、主人の望みを叶え続けたのだ。
魔神は目を瞑って、深く深呼吸をする。魔神はまたひとつ、生まれ持って与えられた使命を達成することが出来た。終わりの合図のように、背後にある黄金のランプが輝き、カタカタと小刻みに揺れ始める。口から青い光が吹き出すと、魔神は出てきた時の映像を逆再生したような動きで、ランプの中へと勢いよく吸い込まれていく。すぽん、という子気味の良い音が鳴って、ランプは輝きを失い、その揺れもぴたりと止んで収まった。
ランプに刻まれた、太い眉を持つ髭面の男の彫刻は、今や誰の目にも明確にわかるほどの満面の笑みを浮かべていた。
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