白木

 和夫さんの指示に従い、僕は屋敷の裏口へと回った。庭を横切る途中、左手には池が見えた。月灯りに照らされたそれは鏡のように下弦の月を美しく映し出し、同時に水面の下に潜む存在を覆い隠していた。ぬるりと、何かが蠢いたような気がする。

 リンと闇の奥から風鈴の音が聴こえてくる。裏口と思しき場所の軒先に吊るされているようだった。日中に聴くのとでは、驚くほど音の印象が違った。夜に聴く風鈴の音は、そこが冥界の入り口であるかのような不気味さを帯びていた。今にも闇の中から何者かの手が伸びてきて、僕の肩を叩きそうな気がした。

 引き戸を開けて中に入ると、再びあの香の匂いがした。僕は下駄箱に靴をしまうと、古い姿見があるのを一瞥した。照明は落とされ、目の前に長く続く廊下は闇の奥へと延びている。所々に置かれた行燈の仄かな光だけが頼りだった。磨き上げられた廊下を進み、最初の曲がり角に差し掛かると、そこには古い花瓶に紅いユリの花が生けられていた。

「こっちじゃよ」

 曲がり角の向こうから和夫さんの声が聞こえ、僕は声の方へと進んでいった。すると、右手の縁側からさっきの池が見えた。ここまま真っ直ぐ行けば、さっきの宴会用の座敷の入り口が現れるはずだ。左手には障子戸が並び、そのうちの一室の戸は開け放たれていた。部屋の前の廊下には蚊取り線香が置かれていた。昔ながらの、緑色の渦を巻いたタイプのものだ。残念ながら、陶器の豚には入っていなかったが。

「どうぞ、こちらへ」

 そこは小さな居間だった。畳敷きの中央には座卓があり、壁には絵巻物が吊るされていた。その絵画には、二人の巫女装束の女性が描かれていた。それはかつてどこかで見た能楽『葵上』に関する図絵を想起させたが、それとはまた別のもののようだった。一方の女性が般若の面を被り、鬼女と化している点は同様だったが、その背後には巨大な鬼のようなものがおり、もう一方の女性の背後には蛸がいた。

(蛸……?)

「それは村の伝承を描いたものですな」

「どういった伝承なんですか?」

 それは純粋な好奇心からの問いでもあった。

「まぁまぁ、まずはお座りになって」

 僕は座卓を挟んで和夫さんと向かい合うように、座布団の上に腰を下ろした。傍らの盆の上には急須と、グラスに注がれた緑茶が用意されていた。

「結人さんは、囲碁か将棋を嗜まれたりはしますかな?」

「将棋は一応分かりますが、駒の動かし方を知っている程度です」

 僕はそう言いながら曖昧な笑みを浮かべた。実際のところ小学生の頃に覚えて以来、長らく触れてこなかった。これまでの旅先でも似たようなシチュエーションはあり、その中で多少は鍛えられたが、付け焼刃には違いなかった。

「十分です。儂が飛車と角を落としましょう。どうぞ老人に付き合ってやってください」

 好々爺然とした中にもやはり彼には威厳があった。そうして僕らの対話は始まった。


「それで、あの絵巻物の伝承について、でしたかな」

 ▲7六歩――

 和夫さんがパチリと耳心地の良い音を立てながら、盤に駒を奏でる。どうしたらああいういい音が出せるのだろう。僕は早くも彼の魔術にかかっているような気がした。

「はい」

 △3四歩――

「あれに描かれているのは、およそ千年前、都から落ち延びて来た厄神とも鬼とも言われる存在と、その傀儡となった鬼女。そしてその鬼と六百年に渡り争ってきた巫女の始祖、瑞葉(ミズハ)様じゃ」

 ▲2六歩――

 和夫さんの手さばきには迷いがなかった。対局への意識が影響しているのか、彼の言葉からやや敬語が落ちる。僕としてはその方が気楽でよかった。

 彼が語る始祖の巫女、ミズハというのがどのような字を書くのか分からなかったが、水神たるミズハノメノカミを想起させる音の響きがある。一方で『罔象もうしょう』と書いてミズハの読みを当てた場合、それは水の怪だ。ただ、そうすると今度は同一視される魍魎もうりょうの姿も立ち上がる。鬼や穢れ、境界といったニュアンスが付与され、描かれているのは鬼同士の対峙と見ることもできるかもしれない。僕の中で清廉な女神と邪な鬼のイメージが重なる。考え過ぎかもしれないが、巫女もまた争いの中で穢れを引き受けてしまうといった暗示かもしれない。

「さらに、その背後に描かれた蛸のようなものこそが村が祀る神、霞様の化身とされておる」

 蛸の姿というのは、ミズハの名が持つ水の性質から連想されたものなのだろうか。蛸と言えば、日本では弥生時代の遺跡から蛸壺らしきものが出土し、当時から食用とされていた可能性があるという話をどこかで聞いたことがある。親しみのある存在だ。そして食するだけに止まらず、葛飾北斎の『蛸と海女の夢』に見るように、性的な交わりが夢想されていたというのだから、面白いものだ。他方、西洋ではデビルフィッシュと呼ばれ、必ずしも良いイメージではないのだろう。クトゥルー神話に登場する邪な神の中にも、頭部が蛸に似た姿をしたものがいた気がする。異教の神のイメージはより複雑で超常的にして蛸の表象は一部を成すにすぎないが、それでも頭部に組み込まれるというのは象徴的だ。浅学の僕では今この場での思索はこれが限界だ。怪異についても一次資料にあたったわけではなく、京極夏彦の『魍魎の匣』で得た付け焼き刃的な知識に過ぎない。それでも伝承が示すその図は、単純な善悪の対峙を超え、その境の曖昧さや危うさを感じさせた。

「霞様については、社で稲葉さんからお話を伺いました。秘神であると」

 △4四歩――

 僕はグラスに手を伸ばし、茶で口の中を湿らせた。

「左様。その霞様のお力添えにより厄神は封じられ、今へと続く――それが伝承のおおまかなところです」

 ▲4八銀――

「そして霞様とともに偉業を成した瑞葉様の末裔、その一人が他ならぬ千種というわけです」

 僕と彼の目が合う。和夫さんもまた茶を口にし、氷がカラリと音を立てた。

「千種さんが巫女の血を引いているというのは、先ほど彼女本人からも聞きました」

 △3二金――

 和夫さんがニヤリとした。

「若者同士、さっそく親睦を深めているようで結構」

 ▲5六歩――

「他にも二人、血筋の娘がいるとも聞いています」

 僕はそんな彼の含みのある視線をよそに話を進めた。

「その通り。これは結人さんにお願いしたい内容にも絡むゆえ、もう話してしまうんじゃが、一人は今日あの宴会の場におった琴音じゃ」

 僕の駒を置く手が一瞬止まる。予想はしていたが、やはりそうなのか。

 △5四歩――

「そしてもう一人が小鳥遊若菜。トキさんからはもう店で顔を合わせたと聞いておる」

 なんでもお見通しというわけだ。それでもこのくらいのことは想定内ではある。

「はい、とても大人びた雰囲気の少女でした」

 それを聞くと、和夫さんはくつくつと笑った。

「あれはなかなかの曲者じゃ。母親に似ておる」

 ひとしきり笑うと、彼は話を続けた。

「あの娘は特に勘の鋭いところがある。血が濃いのも影響しておるのじゃろうが、既に霞様の声が聞こえているような節もある」

「声が聞こえる?」

 僕はこの村に呼ばれたのかもしれない、そう告げた若菜の姿が甦る。

「儂らにもそれがどういった感覚なのかは分からん。例えは悪いが幽霊と同じじゃな」

 話が核心に近づくにつれ、僕の意識が盤上から逸れ始める。

「じゃが血筋の娘には二つの素質があると言われておる。一つは神降ろしの素質というて、霞様と交信し、言葉を預かり、村民に伝えるための素質じゃ」

 それ自体非常に興味深い内容ではある。しかし、僕はもう一つの素養の方が気になっていた。それを僕は実際に目にしているはずだからだ。

「もう一つは?」

 月明りが和夫さんの顔に陰影をつける。彼はまたメモ帳を取り出し、さらさらとそこに文字をしたためた。

『――御神乳――』

「お察しの通り、今日あなたが目にしたものです。子を孕まずとも乳を出す素質、我々がお神乳(オミチ)と呼んでいる神の恵み……あるいは、


 僕は無性に喉が渇き、早くも予め用意されていた分の茶を飲み干してしまった。和夫さんがそれを見て、急須から新たに茶を注いでくれる。僕は彼に礼を述べ、話の続きを促すように視線を送った。

「千種が言うておったように、お神乳には子を授けるような効能があると言われております」

 彼は自分の方のグラスにも茶を足しながら話した。液体がグラスを満たし、溶けて小さくなった氷がころころと音を立てた。

「具体的に言えば、精力増進や催淫効果といった、いわば精力剤のような性質と思っていただければ良いでしょう。結人さんはまだそういったものに世話になるようなお歳ではないでしょうが」

 実際それはその通りではあった。コンビニや薬局で目にするような仰々しい見た目の漢字が印字された、といったものは飲んだことがなかった。せいぜいエナジードリンクか、運転時の眠気覚まし用のドリンクを飲んだことがある程度だ。僕は複雑な表情をしていたのだろう。和夫さんは気を遣ってか、視線を再び盤面に落とした。気づかぬうちに盤面は中盤に差し掛かっていた。玉が動き出す。

 ▲6八玉――

「お神乳については、その生乳、ないし乳酒に加工したものが伝統的に祭祀の折などに振舞われます」

 乳酒というのは日本では気候的な問題なのか、あまり馴染みはない。確かそれこそ奈良の飛鳥の方に珍しく製造している所があった気がするが、それ以外では聞かない。

「霞様に献上するものは先ほど記したように『御神乳』、村民に奉仕するものは『お』を平仮名で表記して『お神乳』というように区別しております」

 △4二銀――

「そしてお神乳の奉仕には一般的な直会(なおらい)、つまり神前に供えたものを神と共に食することによって神と村民の霊を一体とするという意味と……もう一つ、その優れた強壮作用によって子孫繁栄や長寿を祈願するという意味があるのです」

 ▲7八金――

 和夫さんはそこまでを一息に話し終えると、小さく息を吐き、茶を飲んだ。その話し方にはいくらか事務的なニュアンスがあった。一方的に話させ過ぎてしまったかもしれない。僕は少し質問をしてみることにした。

「先天的なホルモンの異常、というようなことなのでしょうか?……すみません、『異常』というのは語弊があるかもしれませんが」

 和夫さんは何度か頷いた。

「おっしゃる通り、『異常』かどうかというのは難しい問題じゃが、少なくとも村ではそのようには捉えておらん。そもそもお神乳は、その生成メカニズムや成分からして母乳とは根本的に異なるものなのです」

 僕は伏せかけた視線を思わず盤面から上げた。

「母乳では、ない?」

 正直、お神乳の効能については話半分に聞いていた。しかし話が詳細になるにつれ、僕はそれを単なる前時代的な蛮習として片づけられない何かを感じ取り始めていた。

「お神乳を口にした起一の反応を覚えておられるかな?」

 △8四歩――

「ええ、覚えています」

 確かに、起一さんは恍惚とした表情を浮かべていた。 

「千種さんへの気遣いはあったにせよ、日常の中で何かを口にして、あそこまで真に迫った感動ができるケースは稀だと思います」

 まして、起一さんはあまりオーバーなリアクションをするタイプには見えなかった。

 ▲8八銀――

「儂の限られた経験上の話じゃが、母乳というのはあくまで赤子のためのものであって、大人が飲んでうまいような代物ではない。個人差はあるかもしれんがね」

 彼は不敵な笑みを浮かべていた。彼には様々な笑顔のバリエーションがある。政治家というものには、そういうスキルが必要なのかもしれない。僕はやや混乱しかけた思考を鎮めるため、次の一手を考えながら、庭に目をやった。月がもう一つ出ているのではないかと期待したが、当然ながらそんなことはあり得なかった。

 △8五歩――

「『奉習』や、『媛』、『妍』といったものについても、教えていただけますか?」

 奉習については巧二さんも口にしていたが、巫女になるための修行のようなものであるということだったはずだ。しかしその実態については闇の中である。和夫さんはここにきて初めて、鼻の下に拳をあて、慎重に悩むような仕草をした。

「そうじゃの……奉習というのは、祭祀での本格的なお勤めに向けた、一言で『慣らし』のようなものじゃな。今日話しておったように、その具体的な内容について今は志保さんと巫女との間で話して決めることになっておる。ちなみに彼女は村の診療所の女医さんじゃ。年の頃は結人さんに近かったような気がするから、何かあった時には良い相談相手にもなるやもしれん」

 はぐらかされたような感があるが、確かに不用意な質問だったかもしれない。

 ▲7七銀――

 そんな僕の意識を逸らすかのように、白木さんの一手が繰り出される。彼の戦略は成功している。僕は実は負けず嫌いなのだ。どれだけ不利な前提や力の差があったとしても、それは変わらない。

 

「媛と妍について、これは巫女の階級じゃ。伝統的にはもう少し細かくあるんじゃが、まず第一に媛は基本的に我が村の社の神職の中では最高位じゃ」

 世間一般で言う巫女と言うと、現代ではアルバイトのイメージが強い。常勤……というのが適切な表現かは分からないが、その場合でも早期にリタイヤするケースが多いと聞いたことがある。しかし最高位ともなれば、事情は変わってくるのかもしれない。

「珍しいですね……そしてここは――」

 △2四歩――

「良い手じゃ」

 ▲同歩――

「妍については言わば見習いじゃな。媛になる前の前段としての位置づけの他に、副業としてお勤めをするような場合の階級としても設定されておる。待遇には明確に差があるが、採用の基準について、正直このあたりは曖昧じゃ。そもそも血筋の者しかなれんからの」

 そのあたりの事情は他の仕事と変わらないんだな、となんだか神秘性が薄れたような気がして些か残念な気持ちになった。

 ふと、和夫さんが腰を上げた。

「茶のお代わりを注いでくるから、待っていてくだされ」

「いえ、そんなわけには――」

 僕は立ち上がりかけたが、かといって家の中の勝手が分からないし、歩き回るわけにもいかない。和夫さんの穏やかな笑みに制されて腰を下ろすが、僕はそんな自分に嘆息した。こういう時、営業職の人間ならうまく機先を制して気の利いた立ち回りができるのかもしれないが、僕はそういったことは不得手だった。せめて自分にできることをしよう、僕はそう思いなおした。そろそろ僕のについての話をすべき頃合いだ。

 

 戻ってきた和夫さんに改めて礼を述べ、僕は口火を切った。

「僕の利用価値についてのお話なんですが……」

 彼はまるでその話題が来ることを予期していたかのように、頷いた。

「結人さんは既に儂が期待しておった役目を果たし始めておる」

 ▲3六歩――

 鋭い一手が繰り出される。自然、僕の眉間にはしわが寄っていた。いけない、重要な話をしているのだ。

「それは……どういうことでしょうか?」

「あなたにお願いしたかったことは、一言でオブザーバーのような役割です」

 △5二金――

「村のソトの人間としての視点から、この村の、儂の、あの娘らの行いを見て、気になることがあったら意見して欲しいのです」

 ▲3五歩――

 盤上ではどんどんと和夫さんの有利が広がりつつあった。

「気づかれましたかな?この村には若い男衆がかなり少ない。村の機能の維持に最低限必要な以外はおらんのです」

 そのことは確かに気になっていた。

「出稼ぎに出られているんですか?」

「それもある。御覧の通り我が村には産業らしい産業がほとんどない。巫女の伝統を秘匿し、彼女らを守るために敢えて目立たんようにしているということもあるが、産業はないんじゃよ」

 含みのある言い方だと思った。村の財源については、恐らく何らかの秘密がある。だが、それに正面から踏み込みには僕はあまりに脆弱だ。

 △4三金――

「『それも』とおっしゃいましたが、他にも理由があるんですか?」

 ▲5七銀――

 僕は彼のその一手に対し、気を落ち着けるために息を吐いた。

「若い男が多いと、巫女との間にトラブルが起きやすい。昔はそれを懸念して敢えて追い出していたような側面もあった。巫女は老人たちのものじゃった……そうこうしているうちに村からはどんどん人が去っていった」

 和夫さんの顔つきが変わったような気がした。その背後に背負われた闇が見えた。彼が一度瞼を閉じる。そして再びゆっくりと目を開くと、その怜悧な表情を僕に向けた。

「じゃから、あなたには若い世代の男性としての視座と役割も期待しておるんじゃよ」


 その後も展開は進み、盤面はいよいよ詰みの局面となった。せめて最後まで粘り強く抗うのが礼儀というものだろう。

 ▲2二歩成――

「僕に……何ができるのでしょうか」

 △同金――

「逆に問おう、結人さん、あなたはこの村でそれを見つけようとしているように見受けられるが、違いますかな?」

 ▲2四飛――

「おっしゃる通りです」

 △3一玉――

 僕は盤上に視線を落としたまま、和夫さんの顔を見れずにいた。すべてを見透かされているような、そんな気がしたのだ。彼が茶を飲む。そしてグラスを置くその些細な音が、不思議とやさしかった。

「結人さん、儂はあなたに、村全体のこともそうじゃが、特にあの娘らを見守ってやって欲しいと、そう望んでおります。儂は時に、村の都合や利益を優先してしまうやもしれませんから」

 僕はおずおずと顔を上げる。

「見守ると言っても、具体的にどうすれば……?」

 彼は微笑む。

「それに正しく答えられる者は、恐らくこの世界のどこにもおらん。その意味では、それを考えるのもまた、お前さんの役目じゃよ」

 それはそうだ。返す言葉もない。

「もちろん、儂も一緒に考える。じゃが――」

 僕は伏せかけた顔を再び上げる。

「さっきも言うたが、あなたは既にそれをしてくださった」

 和夫さんがこちらにやや身を乗り出した。

「あなたは千種を案じ、適切な距離感を保ちながら、あの娘を励ましてくださった。儂はそこにあなたの想いを感じた。あなたが想像力の源泉だとおっしゃられた、想いを」

 彼は体を元の位置まで戻すと、僕への餞別かのように次なる一手を打った。それが最後だった。

 ▲3四飛成――

「……参りました」

 僕は自分でも意外なほど悔しかった。もっと清々しい気持ちになるかと思っていたが、現実は違った。しかし、僕はその悔しさがどこか嬉しくもあった。そんな感情が自分の中にも残っていたのだと、そう思えた。そういう意味では晴れやかさもあった。人間の心理というのは複雑なものだ。

「あなたは千種のことを案じておられたようじゃが、あなたもまた、もっとご自分に自信を持たれた方が良い」

 和夫さんは父親のような表情をしていた。僕は郷愁を覚えた。

「この村のために、少しだけ、手を貸してくだされ」

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