第5話 最後の会話
主人なき執務室には、リリアを見下ろす少女とネコミミを掻きながら、少女を見下ろす女性が立っていた。
「助けてもらえなくても、私一人で対処できるわ。」
少女の指先がかすかに震えていた。
「あー、その点は心配していないっす。先輩なら首を切り落とされても世界を滅ぼせますし。でも、それよりも、先輩の気持ちを心配しているんですよ。これはある種の優しさっすよ。」
少女は、瞼を蝶の羽ばたきのように微かにふるわせた。
「そうね……私、自分の役割を誤解していたわ。」
そう言い終わると同時に、少女と女の体は霧のように消えた。
残されたのは、リリアの亡骸だけだった。
執務室の壁に掛けられた肖像画が、悲しげにリリアの亡骸を見下ろしていた。
派遣魔王 @wisteria28
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