第9話 手加減ってやつでしょ?
「おいおいおい……これは本当か?多分だが……全教科満点なのではないか?」
「そう?難関って聞いてたけど、それほど難しくはなかったよ?
ばあちゃんが出す問題の方が、ずっと意地悪問題で、難しいよ?」
「う〜ん……少なくとも編入試験は楽勝だな。流石は大賢者様って事か」
「流石なのは、ばあちゃんじゃなくて僕でしょ?」
「うん、そうとも言うな?流石レオだ」
「へへへ」
「大賢者様には魔法を習ったんだろ?
それなのにレオは、魔法が苦手だと聞いたが……
試験には魔法と剣技の実技試験もあるのだぞ?」
「僕は魔力量が多すぎるって、ばあちゃんが言ってた。
だから、教わった全部の魔法が、使えるは使えるんだけど、
初歩の、少しの魔力しか使わない魔法のコントロールが、難しいんだろうって」
「教わった全部の魔法?レオはどこまでの魔法が使えるんだ?」
「どこまでって何?」
「ほら、初級、中級とか、王級とかのアレだよ?」
「僕が使えてるのは、帝級までだって。
神級魔法は、ばあちゃんにも使えないらしいから、教えられてないけど、
レオなら、いつか使える様になるかもしれないって言ってたよ」
「…………それ程までなのに、初級が苦手だと言うのか?」
「そ、ファイアしたら、魔力量間違えて、山一つ消し去った事あったから……
攻撃魔法は、ばあちゃんから禁止されてたんだ」
「……何と言って良いやら……レオよ、試験では、試験管に攻撃魔法を見せねばならん。
ほんと〜に、慎重にやるんだぞ?決して、学園の校舎を消し去るんじゃないぞ?」
「うん、分かった」
「剣聖様からは、剣や体術を習ったんだろ?
お前の、戦っている姿を、直接は見た事ないが、
倒した騎士の切り口を見れば、大体の実力は分かる……
レオは既に、この国の10本の指に入る実力かもしれないぞ?
うちの騎士隊長も、同意見だ」
「そんなにかな?」
「剣神様からの手紙にも、かなりの実力だと書いてあった。
冗談で、もうわしでも、
「ああ、そう……初めてじいちゃんに勝てたのは、10歳の時かな?
ここ1年は負けた事ないよ?」
「は?嘘だろ?剣神様相手にだぞ?いくら何でも有り得んだろ……
ああそうか……剣神様もご健在だと聞いて、驚く程のご高齢だから……
なあレオ?剣神様は、まだ剣を振れるのか?」
「もちろん。毎朝剣の訓練を、欠かさずやってるよ?元気元気」
「毎朝訓練されている?剣の力は全盛期に比べどれ位のレベルなんだろうな?」
「6〜70%位にしか動けないって、よく言ってたけど、本当のところは、よく分からない」
「6〜70%……それが本当だとしたら、
我が国上位10人が束になってかかっても、
剣神様には傷一つ付けられないはずだ……
その剣聖様に、この1年負けなしだと?驚いて声も出ないぞ?」
「大丈夫、声出てるよ?」
「いやまあ、そうなんだけどな……なあレオ、
試験の立ち合いでは、相手の身体に、ちょっと触れるだけ位にするんだぞ」
「うん!手加減ってやつでしょ?
剣は得意なんだ、出来るよ。心配要らない……」
レオナルドが、クリスティー公爵家に居候し始めて、3ヶ月が経とうとしていた。
今日は、学園の編入試験の日だ。
「サーレイン宰相閣下、なぜこの様な、編入試験の視察を、我々がするのですか?」
「陛下の命じゃよ。学園の視察というより、1人の少年を見てくるようにとの事だ」
「その少年に、何かあるのですか?」
「クリスティー公爵殿の話が本当であれば、見れば直ぐに理由が分かるであろう」
「そうなんですか?それにしても今日は編入試験ですよね?人数多く有りませんか?」
「通常の入学試験……今迄は総合点で、合否を決めていたであろ?
今回からは、何か一つでも、秀でたものが有れば、合格出来るようになった。
だから、以前、不合格だった者達も、こぞって受けにきているらしいのだ」
「へ〜そう言う伝統……決まりだからと、疑問に思っていませんでしたけど、
変革されるのですね?」
「剣の才能が有るのに、学問が苦手って者もいる。今迄はその者は入学出来なかった。
剣の才能のある者の、それを伸ばし、魔法の才能のある者、学問に才能のある者、
それぞれを伸ばさないと、国の損失だと言った少年がおってな?」
「もしや、先ほどの話の少年が?」
「うむ」
「それで、その少年が、どんな子なのか見てこいと?」
「まあ、それも無いわけでは無いのだが……
それだけでは、陛下はそんな命を出さんよ?
その子は、剣には自信があるものの、
魔法には自信が無いと思っているらしい」
「思っているらしい?」
「その子は、重症の怪我人をヒールで治し、空を飛び、
その子の話が本当であれば、
ファイアーで山を一つ消し去ったらしい……」
「は〜あ〜?ファイアーで?有りえませんよ?
少年の
話を盛るにしても、度が過ぎますよ……」
「その子がメリーアン大賢者様のお孫さんだとしてもか?」
「え?メリーアン大賢者様って、伝説の人じゃないですか?
今も生きておられるのですか?」
「さあな……それも含めて確認せねばなるまい?
メリーアン大賢者様の孫と言うのなら、サウザー剣聖様の孫でもある訳だ……
そんな少年が現れたと言うのであれば、国家の一大事じゃ。他言無用じゃぞ?」
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レオナルド・ダ・オースティン 〜魔剣使いの若き英雄〜 優陽 yûhi @yu--hi
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