第8話 私の本当の息子にならない?

「で……だ、君を学園に行かせて欲しいと、手紙に書いてあるのだが……

 レオナルド君は……」

「レオで良いよ?皆んなそう呼んでる……

 学園だけど、僕は通ってみたいな。

 今まで人里離れた場所で暮らしていたから、

 友達がいなかったんだ……友達をつくりたい」

「……そうか……学園に編入学を、お願いは出来るのだけれど、

 試験を受ける必要があるんだ。剣と魔法は問題ないとして、

 筆記試験は勉強しないといけないよ。

 だから君に先生を付けてあげようと思うけど、

 合格出来る位になるのに、少し時間が掛かるかもしれないよ?」

「お父様、レオは、読み書き計算、歴史……

 色々、大賢者様から教えられてきたんだって」

「いや……でも、王立学園は普通に入るにも難関だぞ?編入だと尚更……」

「そうだ、私がこの秋に受けた入学試験の問題を、試しにやってみたら?

 私まだ、問題用紙持ってるわよ」

「そうだな……レオに先生を付けるにしても、

 今のレオが、どのレベルか知る必要があるものな?」

「うん僕も知りたいから、やってみるよ。

 ところで、クリスティー公爵は……」

「ローレンスおじさんで良いぞ?妻は、フローラおばさんかな?」

「あら、〝お母さん〟……で良いのに……

 レオ君は、ここに住むのでしょう?〝お母さん〟って呼んでほしいわ」

「昨夜も言ってたね?〝お母さん〟って、何で?

 それとここに住んでも良いの?」

「もちろん良いに決まってる。

 ところで何だ?何か言いかけていたが?」

「そうそう、え……と……、ローレンスおじさんは、

 じいちゃん達とどう言う関係?」

「あ〜それな。お会いした事もないよ。のお2人だしな?

 私の祖父がな、若い頃、大層世話になったと聞いている。

 親が謎の死を遂げ、自分も賊に襲われた時に、お2人に助けて頂き、

 その後も、とても良くして頂いたんだそうだ。

 何でも、若かったから、よく分からないうちに、借金の保証人にされ、

 多額の借金を背負わさせられた時も、肩代わりしてくれたそうだよ。

 我がクリスティー公爵家が今あるのも、全てお2人のお陰と言っても良い。

 とにかく大恩が有るのだよ」

「へ〜じいちゃん達、お金持ちだったんだ?」

「それはそうだろ?国を……いや、人類を救った英雄だぞ?

 貴族にっていう話しを、辞退し続けていたとは言え、

 国を丸ごと買えるほ程の褒賞を受けた筈だろ?」

「へ〜田舎の小さな家で、普通に暮らしてるけどね?

 じいちゃん達が、お金持ちとは思わなかったよ?」

「レオは最初、普通〜の格好してたものね?

 むしろ、くたびれた服着てるって思ったわよ?」

「ね、そうでしょ?僕も服とか何でも良かったし……」

「レオの為に使ってくれと、

 口座の情報と、お金を引き出す委任状が入っていたけど、

 とんでもない金額が預けられてるみたいだよ?

 いずれそれをレオが相続するんだぞ?レオも大金持ちって事だな」

「ふ〜ん……」

「何だ?他人事みたいな、気のない返事だな?」

「僕は、あんまりお金に興味ないな……」

「流石はお2人の孫って事か……でな、レオの最初の疑問なんだが……

 実はお前が着ているその服は、ティアナの兄、シャルロットの物なのだよ」

「うん、それは聞いた。ティアナのお兄さん、見当たらないけど今どこに?」

「死んでしまったよ……ちょうど今のレオ達の歳だった……

 山道で崖崩れに遭って……単なる事故なのか……

 今回のティアナの事件の後だと、尚更疑ってしまうよ……」

「だったら、この服は形見じゃないの?

 誰にも触らさせなかったって、そう言う事でしょう?

 貰って良いの?大切なものでしょう?」

「良いのよ?レオ君。ティアナの命の恩人の貴方にだったら。

 きっとシャルロットもそう言うと思うわ……

 未だ沢山あるからそれも着てちょうだい」

「僕、本当にここに住んでも良いの?

 僕が居たら、その子の事、思い出して辛くならない?」

 ううん、逆よ?あの子が帰ってきたみたいで、賑やかで嬉しいわ。

 私達と一緒に居てちょうだい」

「うん……分かった。ありがとう」

「あっ!そうよ!レオ君、いっその事、ティアナをお嫁さんに貰ってくれない?

 そして私の本当の息子にならない?」

「ちょっと……お前……未だ……出会ったばかりで……」

「良いじゃない。レオ君に、お父さんって呼んで貰えるのよ?

 レオ君以上の子がこの国にいると思う?」

「ちょ……お、お、お母様……何言って……もう……」

 顔が真っ赤に染まるティアナ。

「ねえティアナ?レオ君が、入学したらどうなると思う?争奪戦が始まるわよ?

 もたもたしてたらダメよ?ね、レオ君」

「ティアナが僕のお嫁さんに?僕、ティアナ好きだけど、

 ティアナも僕の事好きになってくれるって事?

 おっぱい触らせて……ウグウグウグッ……」

「おっぱい?ティアナ未だおっぱい無いわよ?

 おっぱい触りたいの?私のでよければ触る?」

「いや、ティアナが好きな人とならって……ウグウグウグッ……」

「な……何でも無いんだからね!」

 もはや全身、真っ赤になっていた。

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