第10話 猫男
その夜、屋形船の旅を終えたアリアたちは、町を出る準備を整えていた。だが、港を後にしようとしたとき、ひとりの奇妙な人物が現れた。彼は背が高く、顔立ちが鋭く、何よりもその特徴的な姿が目を引いた。猫耳と尾を持つ、まさに「猫男」と呼ぶにふさわしい姿だった。
「待ってくれ!」猫男が手を振りながら歩み寄ってきた。「君たち、少し話をしていかないか?」
アリアはその不思議な存在に興味を持ち、立ち止まった。「あなたは…?」
「俺はリオ。町を出る冒険者たちに頼みたいことがあってな」と、猫男はにっこりと笑った。「実は、近くの森で問題が起きているんだ。なんでも、闇の力に関わる何かが出現して、村人たちが困っているらしい」
ルナが少し警戒した表情でリオを見つめる。「それは…私たちが倒すべき敵なの?」
「そうだ。けれど、この問題を解決するには、少しだけ手を貸してほしいんだ。君たちのような強い冒険者なら、きっと助けになってくれるだろう」と、リオは真剣な眼差しで続けた。「詳しいことは、村まで来てから話すつもりだが、今、君たちが向かうべき場所と一致している。もし興味があれば、手を貸してほしい」
グロムが手を叩きながら言った。「食べ物と酒があれば、どんな冒険でも大歓迎だぜ!」と、冗談交じりに言ったが、アリアとルナはしっかりとリオの言葉を受け止めていた。
「なるほど、闇の力…それなら、私たちの旅にふさわしい試練になりそうね」と、ルナが頷きながら言った。
「森へ行く前に、少しだけ情報を集めるのも悪くないかもしれないわね。私たちが助けられるなら、やってみる価値はありそう」とアリアが考え込むように言った。
リオは嬉しそうに微笑んだ。「ありがとう!それなら、すぐにでも行こう。道案内は任せてくれ」
こうして、アリアたちはリオとともに村へ向かうことを決め、再び冒険の旅路を進めることとなった。途中、リオから村の近くで起きている異変について詳しく聞いた。どうやら、村の周辺で夜になると、不気味な音が響き、村人たちは恐れて外に出ることができなくなっているという。
「もしかしたら、闇の魔物が関わっているのかもしれないわね」とルナが言った。
「それなら、俺たちがその魔物を倒して、村に平和を取り戻してやるさ!」グロムは力強く言った。
その日、アリアたちは猫男リオと共に村に到着し、すぐに村人たちから事情を聞き始めた。村の広場には、恐れを感じさせる暗い雰囲気が漂っており、村人たちは家の中に閉じ込められていた。
「夜になると、あの森から不気味な影が現れるんです。まるで何かに引き寄せられるように…」村人のひとりが震えながら語った。
「わかりました。私たちがその影を追って、解決してみせます」とアリアが決意を込めて言った。
その夜、アリアたちはリオと共に森へ向かった。月明かりが薄く、木々の間から不安定に揺れる影が見えた。森の奥深くに足を踏み入れるにつれて、アリアの胸には何か不安な気配が漂い始めた。
「気をつけて…この先、何かが待っている」リオの言葉に、アリアたちは身を引き締めて進んだ。
やがて、森の奥で不気味な光が見え、闇の魔物の気配が濃くなっていった。アリアたちはその存在を見定めると、準備を整えて戦いに挑んだ。
猫男リオが、その姿から想像できないほど素早く動き、アリアたちとともに魔物に立ち向かう。闇の力を振るう魔物と戦いながら、アリアたちはその強さを発揮していった。
「これが、私たちの力だ!」アリアは剣を構え、力強く叫んだ。
夜の闇の中、戦いが繰り広げられ、アリアたちはついに闇の魔物を倒すことに成功した。村の平和は取り戻され、猫男リオも感謝の言葉を述べて、再びアリアたちの旅路に共に歩むことを約束した。
「ありがとう、君たちのおかげで村は救われた!」リオはにっこりと笑いながら言った。「次の冒険も、一緒に行けたら嬉しいな」
「もちろん、リオ。君のような仲間がいれば、どんな冒険も楽しめそうだ」とアリアは笑顔で答えた。
そして、アリアたちの冒険は、次々と新たな出会いや試練を迎えながら続いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます