第6話 暗黒の力
アリアとルナは、家康の魂が解放された後、静かな湖のほとりに立ち尽くしていた。闇を払い、過去の影を打ち破ったことに安堵の気持ちを抱きながらも、心の中には新たな疑問が湧いていた。
「アリア、今後の旅はどうするつもり?」ルナがふと尋ねた。
アリアは深く息を吸い、シュヴァルツの剣を見つめた。「家康を解放したけれど、まだ私の旅は終わっていない。シュヴァルツの剣には、まだ多くの謎が隠されている。そして、私はこの剣を使い、世界の闇を消し去るために進み続けなければならない」
その時、突然、森の奥から不穏な気配が漂ってきた。アリアとルナは互いに顔を見合わせ、警戒した。遠くから、低い声が響くのが聞こえた。
「…お前たち、どこへ行こうというのだ?」
その声に反応するように、森の中から現れたのは、見知らぬ人物だった。身にまとった鎧は異国のもので、顔は鋭い眼差しでアリアたちを見つめている。その姿はどこか異国の王族や将軍のような威厳を漂わせていた。
「誰ですか?」アリアは、警戒しながら尋ねた。
その人物はしばらく黙った後、ゆっくりと答えた。「私はムラド。この森で生きる者ではないが、ここには私の目的がある」
ムラドの目が、シュヴァルツの剣に注がれた。アリアはその視線に少し緊張し、剣を守るようにその手を握りしめた。
「あなたは、この剣に何か関係があるのですか?」 アリアは問いかけた。
ムラドは不敵に笑みを浮かべながら、ゆっくりと答えた。「その剣が、私の求める力を手に入れるための鍵であることは間違いない。しかし、私はその力を使うつもりだ。私の目的を達成するために」
ルナがアリアの横に立ち、慎重に声をかける。「ムラド、あなたは何をしようとしているのですか?」
ムラドは無言で一歩前に進んだ。「私が求めるのは、すべてを支配する力だ。その力こそが、この世界を変える唯一の手段だと確信している」
アリアはその言葉に疑念を抱いた。「支配? それでは、この世界を闇で覆うことになるのでは?」
ムラドは冷徹な笑みを浮かべる。「闇を恐れる者たちは、永遠にその中に閉じ込められる。だが、私にとっては、闇こそが力だ。私がその力を手に入れた時、すべての支配は私の手にある」
アリアはその考えに反発を覚えた。「私は、そのような支配を望まない。この世界に必要なのは、真の自由と光だ」
ムラドの表情がわずかに硬くなると、彼は突然、手を振り上げた。彼の周りに渦巻く黒い気配が強まり、周囲の空気が一変した。森の木々が震え、葉が舞い散った。
「お前たちが私の目的を阻むのなら、力でその道を開くのみだ」
ムラドは冷たく言い放ち、手に魔法の力を集め始めた。
アリアはすぐにシュヴァルツの剣を構えた。その刃に込められた光が、ムラドの暗黒の力に立ち向かう準備を整えた。「私は引かない。闇に屈しない」
ルナは素早くアリアの隣に立ち、彼女に支援の魔法をかける準備をした。「私もお前を守る。共に戦おう、アリア」
ムラドの力が爆発的に放たれ、周囲の空気が重くなった。暗黒の波がアリアたちに襲いかかる。しかし、シュヴァルツの剣から放たれる光の刃が、それを防ぎ、切り裂いた。
アリアの目は鋭く光り、剣をしっかりと握りしめて言った。「闇を越えて、光を信じて戦う。この剣が導く先に、私たちの未来がある」
ムラドの目が、アリアの力を見て驚きの表情を浮かべた。「お前がその力を使いこなせるとは思わなかった」
「あなたが望む力は、私たちには渡さない」
アリアは一歩踏み出し、シュヴァルツの剣を掲げた。その刃に込められた光がさらに強まり、ムラドの暗黒の力を打ち砕く準備を整えた。
戦いの火蓋が切って落とされ、アリアとムラドの激しい戦闘が始まった。
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