第7話 ドワーフ
アリアとムラドの激しい戦闘が続く中、周囲の空気はますます重くなり、暗黒の魔法とシュヴァルツの剣の光が交錯し、まるで世界が二つに引き裂かれそうなほどの衝撃が走った。ムラドの放つ黒いエネルギーがアリアに向かって迫るが、アリアはその力を受け止め、逆にシュヴァルツの剣で光の刃を放つ。
「あなたの闇には、私の光が必ず勝つ!」アリアは強く叫び、剣を振り下ろす。ムラドはそれを冷ややかな目で見つめ、闇の力を倍増させる。
その時、突然、森の中から力強い足音が響いた。アリアとムラドの戦闘に割って入るように、重い足音が近づいてくる。次の瞬間、巨体の影が二人の前に現れた。
「おい、お前ら、少し静かにしろ!」
その声は、低く、どこか無骨でありながら、どこか温かみも感じさせた。振り向くと、現れたのは大きなドワーフだった。身長はアリアの倍ほど、太い腕には鋼の鎧が輝き、手には巨大なハンマーを持っている。彼の顔はしわだらけで、ひげが長く、目は鋭くも優しさを感じさせる。
「ドワーフ…?」
アリアは驚きながらも、その存在に目を見開いた。
「まったく、闇だ光だって、うるさくてかなわんな」ドワーフは大きなハンマーを地面に突き立てながら、ムラドに向かって不機嫌そうに言った。「お前みたいな輩に、森の平穏を乱されちゃたまらん」
ムラドは一瞬呆気に取られたが、すぐにその目つきを鋭くした。「何者だ、お前は?」
「俺か? 俺はグロム。ドワーフだ」ドワーフは堂々と名乗り、ムラドに一歩近づいた。「お前みたいな無礼者に森を荒らされてたまるか。俺の大事な場所だ!」
ムラドはその挑戦に眉をひそめた。
「ドワーフの力がどこまで通じるか、見てやる」
グロムは一歩踏み出し、地面に強くハンマーを打ち付けた。すると、周囲の空気が震え、地面から金属のような音が鳴り響いた。次の瞬間、グロムは猛烈な勢いでムラドに向かって突進した。
「お前が闇を振るうなら、俺がこの大地の力でお前を打つ!」グロムの声は轟くように響き、巨大なハンマーがムラドに迫った。
ムラドはその攻撃をかわすが、グロムの力強い一撃が空気を裂き、闇の力にひびが入る。「何だ、こいつの力は!」ムラドは驚きながら、少し後退する。
アリアはその隙を見逃さなかった。「今だ!」彼女はシュヴァルツの剣をしっかりと握り、ムラドに向けて再び光の刃を放った。
ムラドはそれをなんとか防ごうとするが、グロムの攻撃に押され、ついに彼の魔力が乱れ、闇の力が一時的に弱まった。その瞬間、アリアの剣がムラドに直撃し、彼の暗黒の力が爆発的に弾け飛んだ。
ムラドは苦しげに倒れこみ、「これは…!」と叫びながら、最後の力を振り絞るが、すでにその力は完全に尽きていた。
アリアは息をつきながら、グロムを見上げた。「ありがとう、グロム。あなたが来てくれなければ、勝つことはできなかった」
グロムは豪快に笑いながら、「あぁ、気にするな。俺は森を守るために来たんだ。お前たちの力もすごかったが、俺の力を忘れちゃいけねぇぞ」と言って、ハンマーを肩に担いだ。
ルナも微笑んで言った。「グロム、あなたの力には感謝します。あなたのおかげで、私たちはムラドを倒すことができました」
グロムは照れくさそうに肩をすくめ、「それはどうだか。だが、俺たちドワーフの力は、この森にも通じる。お前たちが無事で何よりだ」と答えた。
その後、アリアとルナ、そしてグロムは互いに歩み寄り、短いが心温まる会話を交わした。ムラドが倒されたことで、森は再び静けさを取り戻し、闇の脅威は去った。しかし、アリアはこの戦いが終わりではなく、まだ続く旅路の一部であることを感じていた。
「次はどこへ向かうのですか?」グロムが尋ねた。
アリアは一歩前に進み、シュヴァルツの剣をしっかりと握りしめた。「世界にはまだ多くの闇が残っています。私はそれを消し去り、平和を取り戻すために旅を続けます」
グロムは大きく頷き、「それなら、もし困ったことがあれば、ドワーフの力を貸してやろう。お前たちが闇を倒すその時まで、俺はお前らの味方だ」
アリアは笑顔を浮かべながら言った。「ありがとう、グロム。あなたの力を頼りにしています」
こうして、三人は新たな仲間として、再び旅路を進み始めた。闇を倒し、世界に平和をもたらすために。
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