第32回電撃小説大賞 星影の巫女と迷宮の騎士 1万字以上3万字以内で完結していること。

第4話 深緑の森での出会い

　アリアは、シュヴァルツの剣を携え、冒険を続けていた。ある日、彼女は深い緑の森に足を踏み入れた。太陽の光が木漏れ日となり、静かな森は神秘的な雰囲気に包まれていた。小鳥のさえずりだけが響き、時折、遠くから動物たちの気配が感じられた。

　森の中を進むにつれ、木々はますます大きくなり、空は葉陰に隠れて見えなくなっていた。道も次第に不明瞭になり、アリアは迷い込んでしまったのかもしれないと思った。

「もしや、迷ってしまったかしら……」

　そう呟きながら、アリアは周囲を見回した。その時、茂みの中から、かすかな音が聞こえた。それは、足音のようでもあり、羽音のようでもあった。

「誰かいらっしゃいますか？」

　アリアが声をかけると、茂みが揺れ、そこから現れたのは、見慣れない姿の生物だった。すらりとした体、尖った耳、そして、長い銀色の髪。それは、アリアが絵本でしか見たことのない、エルフだった。

　エルフの女性は、美しい緑色の瞳でアリアを見つめていた。

「迷子になった人間の子か。この森は迷いやすい。気をつけないと、永遠に迷ってしまうぞ」

　エルフの女性は、落ち着いた声でそう言った。

「ありがとうございます。助かりました。私はアリアといいます。あなたは？」

「私はルナ。この森に住むエルフだ」

　ルナは、そう言うと、アリアを森の奥へと案内してくれた。道中、ルナは森の植物や動物について、様々なことを教えてくれた。アリアは、ルナの知識の深さに驚いた。

「あなたは、この森のことをよく知っていらっしゃるのですね」

「私は、この森で生まれ育った。森は私の家であり、家族なのだ」

　ルナはそう言うと、微笑んだ。その笑顔は、まるで月の光のように柔らかく、アリアの心を癒やした。

　二人は、しばらく一緒に森の中を歩いた。そして、小さな湖に到着した。湖面には、満月が映り込んでいた。

「美しいですね」

　アリアは、息をのんで湖を見つめた。

「そうだな。この湖は、私たちの大切な場所だ」

　ルナは、そう言うと、湖に手を伸ばし、水を掬った。そして、それをアリアに手渡した。

「飲んでごらん」

　アリアは、戸惑いながらも、ルナが手渡した水を口にした。すると、体中に力がみなぎっていくのを感じた。

「これは、魔法の水なの？」

　アリアがそう尋ねると、ルナは微笑んで頷いた。

「この水には、森の力が宿っている。疲れた心を癒やし、体力を回復させてくれる」

　ルナは、そう言うと、再び湖に手を伸ばし、水を飲んだ。

　二人は、湖畔に座り込み、しばらくの間、何も言わずに月を見上げていた。静寂の中、アリアは、シュヴァルツとの別れ、そして、これからの自分の旅について考えた。

「ルナ、私は、シュヴァルツの剣を託されて、世界中を旅しているの。闇と戦い、人々を救うために」

アリアは、そう言うと、シュヴァルツの剣を見せた。ルナは、剣に興味深そうに目を輝かせた。

「それは、素晴らしい剣ね。きっと、あなたを導いてくれるだろう」

ルナは、そう言うと、アリアの手を握った。

「私も、いつかあなたと一緒に旅したいわ」

ルナは、そう言うと、再び微笑んだ。

　アリアは、ルナの言葉に感動した。そして、二人の友情は、永遠に続くことを確信した。

　次のキーワードは『と』がつくもの