第32回電撃小説大賞 星影の巫女と迷宮の騎士 1万字以上3万字以内で完結していること。

第3話 希望の光

　古代都市の最深部、巨大なクリスタルの柱が立ち並ぶ神殿で、アリアとシュヴァルツは最後の対決を迎えた。シュヴァルツは、闇の力を宿した魔剣を振るい、アリアを圧倒する。星影の光は、闇に飲み込まれそうになるが、アリアは決して諦めない。

「シュヴァルツ！」アリアは、涙を浮かべながら叫んだ。「あなたは、もう一人じゃない！」

　その言葉に、シュヴァルツの瞳に一瞬の迷いが浮かぶ。アリアは、星影の力を最大限に引き出し、全身を光で包み込んだ。そして、シュヴァルツに向かって、光を放つ剣を振り下ろす。

　二つの光が衝突し、神殿は眩い光に包まれた。しばらくして、光が収まると、シュヴァルツの姿は消え、残されたのは、ただ一つの剣だけだった。

　神殿の静寂が戻る中、アリアは崩れ落ちた膝を支えながら、剣に目を向けた。それは、かつてシュヴァルツが手にしていた闇の力を宿した魔剣。しかし、今はその闇が完全に消え去り、純粋な輝きを放つ聖なる剣へと変わっていた。

　アリアは震える手でその剣を掴む。剣の冷たい感触に触れた瞬間、彼女の心にはシュヴァルツの記憶が流れ込んできた。彼が抱えていた孤独、苦しみ、そして闇に飲み込まれる寸前まで彼を支えていた微かな希望――それは、彼女との出会いだった。

「シュヴァルツ……」アリアは静かに呟いた。「あなたの痛みを、私はずっと忘れない」

　そのとき、神殿の中心にある巨大なクリスタルの柱が淡い光を放ち始めた。それは、まるでアリアの選択を称賛するかのように輝きを増していく。そして、柱の中から小さな光の球が現れ、ゆっくりとアリアの前に浮かび上がった。

　「これは……？」アリアが手を伸ばすと、光の球が彼女の胸元に吸い込まれるように入り込んだ。その瞬間、彼女の中に新たな力が宿ったことを感じた。それは、星影の力とは異なる、シュヴァルツの魂の残響とも言える温かな力だった。

　「アリア……」微かな声が聞こえた。それは、シュヴァルツの声だ。

　アリアは振り返ったが、そこに彼の姿はなかった。しかし、彼女の心には確かに感じるものがあった。シュヴァルツの魂が、彼女の中で新たな未来を見守る存在として残っていることを。

　アリアは剣を握り直し、神殿の出口へと歩き出した。その背後で、神殿のクリスタルの柱たちはひとつひとつ淡い光を放ち、彼女の歩みを祝福するかのように輝いていた。

　外の世界に戻ると、空は晴れ渡り、夜明けの光が古代都市を包み込んでいた。アリアは剣を掲げ、誓いを立てた。

「あなたの遺した希望を、私は世界に届ける。そして、闇に苦しむ人々を救ってみせる」

　彼女のその決意とともに、新たな冒険が静かに幕を開けた。彼女の旅路には、まだ多くの試練が待ち受けているだろう。しかし、アリアはもう一人ではなかった。シュヴァルツの想いとともに、彼女は歩み続けるのだった。

　古代都市を後にしたアリアは、シュヴァルツの剣を手に、新たな旅へと出発した。広大な世界をさまよいながら、彼女は多くの困難を乗り越え、様々な人々と出会った。

　ある日、アリアは小さな漁村にたどり着いた。村の人々は、深海の怪物のせいで漁に出ることができず、生活に困窮していた。アリアは、その話を聞き、シュヴァルツの剣に宿る力を借りて深海へと潜る決意をする。

　深海は、暗く冷たい世界だった。深海生物の光が幻想的な光景を作り出しながらも、そこには危険が潜んでいた。アリアは、シュヴァルツの剣を光らせ、道しるべとした。

　やがて、アリアは巨大な深海生物を発見する。それは、村人たちが恐れていた怪物よりもはるかに大きな存在だった。怪物は、アリアに向かって怒り狂い、鋭い牙をむき出した。

　アリアは深呼吸をし、シュヴァルツの剣を構えた。そして、剣から放たれた光が、深海を照らし出した。その光は、怪物だけでなく、深海の闇そのものを照らし出すかのように輝いていた。

怪物は、光の眩しさに目をくらませ、攻撃の精度を落としていく。アリアはその隙をついて、剣を振り下ろした。剣は、怪物の鱗を打ち破り、その体を切り裂いた。

　激しい戦いの末、アリアは怪物に勝利した。深海から上がってきたアリアは、村人たちに笑顔を見せた。村人たちは、アリアの勇気に感動し、盛大な歓迎をしてくれた。

　それから、アリアは深海に住む他の生物たちとも交流を深めた。深海生物たちは、アリアの優しさに心を開き、彼女を導くように泳ぎ始めた。アリアは、深海生物たちと協力し、新しい漁場を見つけることに成功する。

　村は再び活気を取り戻し、人々は幸せに暮らすようになった。アリアは、シュヴァルツの剣を村に贈り、村の守り神とした。

　アリアの冒険は、まだ終わっていなかった。彼女は、シュヴァルツの剣を手に、世界を巡りながら、闇に苦しむ人々を救っていく。そして、どこへ行っても、人々は彼女を「希望の光」と呼んだ。

　モンスター紹介

　深海の怪物たち：アリアが対峙した深海の脅威

アリアが深海で遭遇した怪物は、その深みに棲む多様な生物の一端を垣間見せてくれます。深海は、太陽光が届かない暗黒の世界であり、そこには想像を絶する姿をした生物たちが生息しています。

深海の怪物：その特徴と生態

* 巨大な顎と鋭い牙: 深海はエサが乏しい環境です。そのため、深海の生物は一度の食事で大量の獲物を捕らえるために、大きな顎と鋭い牙を発達させています。アリアが対峙した怪物も、その特徴的な顎でアリアを威嚇したでしょう。

* 発光器官: 深海は真っ暗闇です。深海生物は、獲物を誘き寄せたり、仲間とコミュニケーションをとったりするために、発光器官を持っています。アリアが見た深海の光は、このような発光器官によるものかもしれません。

* 巨大な体: 深海には、深海魚だけでなく、巨大なイカやクラゲなども生息しています。アリアが遭遇した怪物も、深海に生息する巨大な生物の一種だった可能性があります。