第2話 あなたが嫌いな物、あなたが嫌いな事

ダリアウス。


あなたには、嫌いな物や、嫌いな事が沢山ありましたね。


朝は、特に苦手で…。


私がいくら起こしても起きなくて、何度ベッドから引きずりだしたことか…。


結構大変だったんですよ。


私は、反対に早起きなので、いつもあなたを起こしていたのが、懐かしいです……。


今は、規則正しい生活を送れて私は満足してます。


引きずらなくていいし…。


でも、少し寂しいですね…。


アルバートは、部屋から窓をみた。


ここは、グランダール王国ではない。


田舎町に近い、どこかの宿だろうか。



隣を見ると、部屋の半分も占めてしまうイビキをかいて爆睡している人もいる。


私は、訳あり御用達の宿に来ている。


そう言えば…。


こう言う格安宿も嫌ってましたね。


掃除がなってないし、設備も少し悪く使いにくいと言っていた。


なのに、すぐに旅人とは仲良くなって、宴会騒ぎ。


お酒は弱い癖に、酒を断ることもしなくなって……。

自分が皇子と言う立場を忘れて、飲んで騒いで楽しむあなたの笑顔が大好きだった。


その姿を見ていると怒れなくもなる。


でも、そのおかげでまた私はあなたを朝、引きずらなくてはならなくなったけど。


今日は、静かに眠れて良かったです……。


私は、この5年ずっとあなたの専属護衛をしてきた。


5年間もいれば、嫌でもわかる事。


あなたは、嫌いなものは嫌いだと言い誰からも愛されていた。


嫌いな色、橙色。

果物の柿が嫌いだからその色も嫌い。


私は、大好きな色だったし、大好きな果物だった。


今度の住処には、橙色の絨毯に柿を庭に植えてやる。


でも人に似合う色を見つけるのは上手かった。


ダリアウス「お前は、赤が似合う。」とおっしゃった翌月に護衛服のマントが赤に変わっていた。


でも…変わった護衛服のマントを来て、護衛をしついて、奥方や殿方に「いいね。」「素敵だわ。」と、言われると。 


また翌月に青いマントに変わってたっけ…?


同世代の騎士に「お前は戦隊護衛騎士になったのか?」と、からかわれて「うるさい。」と、言い返したのが懐かしいな。


アルバートは、クスリと笑った後……。


好きな色を着てやる。と、心に決めてまた窓を見た。


すると……。


アルバート「あ……」


窓の外に、桜の花びらが見えたのだ。 


薄ピンクの綺麗な花びら……。


アルバート「桜……」


世界はこんなにも色彩に溢れている。


そんな色を残しているのが貴方でしたよ……。


5年前とは違う香りと空気、耳に入る曲のメロディも違えば店の売っているものも違う。


世界の全てが変わっていて…。


窓から見えるのは……あなたではないということ。


貴方に会いたくなってしまうんですね……私は……。


ダリアウス……私は…あなたに会いたい…。

会いたいですよ……。


今すごく会いたくて仕方がなくてたまりません……。


でも…約束ですからね……。


アルバートは、涙を一粒だけ流した。

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【BL 】Knight's Oath 〜真実の愛〜 kappa @kappa001

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