CODE_K(仮題)

坂岡ユウ

Ep.A-0:Greeting

 夢じゃないあれもこれも……


 テレビから流れる大物ロックバンドのパフォーマンスが、五人を現実へと引き戻す。大晦日はあっという間の一日だった。Fが引越しを大晦日に行うと宣言したせいで、Cは恋人と年越しそばを食べられなかった。Tは、もっと悲惨だ。帰省が取りやめになり、たんまり手数料を取られた。


 それでも、Fの表情は明るい。


「よーし、来年は俺たちの一年にするぞ!!」


 コンビニエンスストアで買ってきた銘柄不揃いのカップラーメンを啜りながら、他の四人はFに冷たい視線を送った。


 すると、目の前の年末番組に、突如ニュース速報のテロップが現れた。「淡路島に怪獣出現」という一報に、五人の若者たちの仕事納めが今年中にやってこないことが確定した。


「じゃあ、行きますか」

「付き合ってやりますよ」

「ホップステップやるっきゃない!」

「リップ塗ってからでいい?」

「とりあえず車でやってくれー!」


 中古のRVに機材を詰め込み、五人は現場へ急行する。まだまだ終わらない今年に、ピリオドを打ちに行く。


 五人にはヒーローもロボットもないが、知恵と勇気があれば、どんな大怪獣だって必ず捕獲できるだろうと信じていた。今は粉砕しか手段がなくても、いつかはそうなるように、知恵を絞らなければいけない。それが彼らの共通認識だ。


 大いなる現実の中で、今やれることを一万パーセントで。五人の若者たちによる、まだ見ぬ冒険がここから始まる。

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