女性がハイヒールを履く理由として、履くとつま先立ちになるから、ということがあるそうです。ふくらはぎを引き締め、すらっと美脚に見える効果があるからとか。
本作の主人公である橋本梨乃も、おそらく自分を必要以上に美しく見せようとしてしまったのでしょう。
理想の男性に会えたと舞い上がるところから始まり、読み進めていくごとに徐々に冷静になっていく主人公が印象的です。
爪先立ちになって歩いた末、ふらっとバランスを崩しそうになったところを助ける幼馴染。なんとも素敵じゃないですか。
最終話のタイトル含め、短いながらもしっかりまとまった作品だと思います。
面白かった!
大人の恋を追い求める女子大生・橋本梨乃が、現実と向き合いながら成長していく物語。
大人の男、佐藤隆久に憧れ、彼に見合う女性になろうと奮闘するものの、彼の実の姿を知る梨乃。そんな彼女を助けたのは、幼馴染の健太でした。彼の助言を受け、梨乃は自分の理想と現実を見つめ直していきます。
キャラクターのリアルな心理描写とテンポの良い文章。
恋に浮かれ、背伸びをする梨乃の姿は共感を呼びますが、詐欺に巻き込まれそうになる展開はリアリティがあり、ハラハラします。一方で健太は梨乃を正しい道へ導く頼れる存在。本当に信頼できる相手とは何かを示してくれます。
軽快でテンポが良く、恋愛小説の甘さに加え、詐欺の手口や撃退法も学べるのが新鮮です。
ただの恋愛物語ではなく、「大人の恋に憧れる気持ち」と「本当の信頼」を考えさせられる作品。理想を追い求めるのも大切だけど、無理をせず自分を大切にすることの大切さを教えてくれる作品です。