ドアー
雛形 絢尊
トイレの個室
個室にいる。というよりも、
個室に閉じ込められている。
どんよりと萎んだ心が未だ
身動きも取れずに幽閉されている。
何か俺はしでかしたのか?
思えど見当はまだつかない。
ここはどこだ、どこなんだ。
もうどれくらいここにいる。
足が萎びて痙攣を起こす。
慌てふためき見渡してみても
個室トイレほど。
どうすればいい、
一体どうすればいいのか。
床を見る。
汚れたタイルを見てその居た堪れなさを負う。
だんだんだん、扉を叩く、ノックした。
誰かあけてくれ開けてくれ。
ようやく正気を取り戻す。
目の前のドアノブに手をかける。
誰かあけてくれ開けてくれ。
ノックを何度も繰り返す。
ああ、開けてくれ開けてくれ。
ドアを蹴り破ろうと試みる。
ただ開けてくれ、開けてくれ。
ドアをノックした、ドアはノックした。
あとはこのまま、また嘆く。
何者かがドアの外にいる。
頼むよどうか開けてくれ。
だんだんだんとまたも叩く。
さあどうか、ほらよ開けてくれ。
勢い任せにまた叩く。
さあ開けてくれ、開けてくれ。
それ開けてくれ、開けてくれ。
もう、耐えられない開けてくれ。
誰か助けてくれもうやめて。
ドアー 雛形 絢尊 @kensonhina
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ドアーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます