ドアー

雛形 絢尊

トイレの個室

個室にいる。というよりも、

個室に閉じ込められている。

どんよりと萎んだ心が未だ

身動きも取れずに幽閉されている。

何か俺はしでかしたのか?

思えど見当はまだつかない。

ここはどこだ、どこなんだ。

もうどれくらいここにいる。

足が萎びて痙攣を起こす。

慌てふためき見渡してみても

個室トイレほど。

どうすればいい、

一体どうすればいいのか。

床を見る。

汚れたタイルを見てその居た堪れなさを負う。

だんだんだん、扉を叩く、ノックした。

誰かあけてくれ開けてくれ。

ようやく正気を取り戻す。

目の前のドアノブに手をかける。

誰かあけてくれ開けてくれ。

ノックを何度も繰り返す。

ああ、開けてくれ開けてくれ。

ドアを蹴り破ろうと試みる。

ただ開けてくれ、開けてくれ。

ドアをノックした、ドアはノックした。

あとはこのまま、また嘆く。

何者かがドアの外にいる。

頼むよどうか開けてくれ。

だんだんだんとまたも叩く。

さあどうか、ほらよ開けてくれ。

勢い任せにまた叩く。

さあ開けてくれ、開けてくれ。

それ開けてくれ、開けてくれ。

もう、耐えられない開けてくれ。

誰か助けてくれもうやめて。

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ドアー 雛形 絢尊 @kensonhina

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