喪失の痛みと、それでも前に進む強さを描いた青春短編小説
- ★★★ Excellent!!!
親友との出会いと別れを描く過去パートと、その思い出を追う現在パートを巧みに行き来しながら進んでいく物語の中で、主人公は喪失の痛みを受け入れ、前に進むことを選びます。
過去パートでの、二人の息遣いが伝わってくるような描写がとても好きでした。
その丁寧な描写のおかげで、主人公の体験する喪失感が心に刺さるようでした。
主人公は、親友のある言葉を思い出すことで、立ち直るきっかけを得ました。失われたと思っていた関係がまだ残っていて、それが自分自身を先に進めてくれる、その流れにグッとくるものがありました。
青春の儚さや痛み、そしてかけがえのなさが詰まった短編小説でした。