白鳥さんの愉快な日常 出張版

夢水 四季

つま先

「女子がつま先立ちで何かしてるのって何か可愛いよな」

「それが白鳥さんならね」

「お前は白鳥がしてることなら何でも可愛いって言うだろ」

「まあ、そうだけど」

「そんなことよりも、つま先立ちしてる女子って可愛いよねって話だ」

「何で、いきなりそんな話をするんだい」

「それは今回のテーマが「つま先」だからやろ」

「そうそう」

「テーマって何だい?」

「まあ、そこは深く気にしないで」

「今日はつま先をテーマに男子会トーク会や」

「つま先立ちで図書館の本を取ろうとしてる白鳥」

「そこへ颯爽と現れ、目的の本を取ってあげる僕」

「ありがちなシチュエーションやな」

「その後、白鳥さんと同じ本を読んでいた僕が「僕もこの本読んだよ。趣味が合うね、僕達」と言って好感度が上がる」

「白鳥のよく読む本って何だ?」

「魔術系の本とかオカルト雑誌とかやね」

「ちなみに烏丸はどんな本読むんだ?」

「白鳥さんがおススメしてくれた本」

「へえ、美和子、本のおススメとかしてるんや」

「最近は陰陽師が活躍する本をおススメされたんだ。けっこう長いシリーズだから読み応えがあるよ」

「そうなのか」

「で、つま先に話を戻すとすると。やっぱり身長差のキスは欠かせへんよな」

 ここで俺達の身長を大公開!

 おれ168センチ、大体高校生の平均くらい。

 薫182センチ、けっこうがっしりしてる、さすが野球部、弱小だけど。

 烏丸175センチ。俺より少し高いくらい。

「秀がつま先立ちで背伸びしてみると、ちょうど凛の身長くらいになるね」

「これが、烏丸が見てる景色かあ」

 俺は背伸びして烏丸と同じ身長くらいになって並んだ。

「ちょっと、あまり寄らないでくれよ。気持ち悪い」

 こいつはすぐに俺に「気持ち悪い」って言うな。

「つま先立ちのキスの理想的な身長差は12センチらしいで」

「ねえ、白鳥さんの身長っていくつ?」

「知らねえよ」

「確か154センチだったと思うで」

「何でお前はそんなに詳しいんだよ」

「秀と美和子が理想的な身長差に近いな」

 烏丸は俺をキッと睨んで言った。

「そんなこと僕は認めない!」

「認めないつってもしょうがないだろ、身長は」

「僕がもう少し縮めば良かった」

「羨ましい悩みだな」

「凛の身長が女子が思う理想の彼氏の身長らしいのに」

「そうだぞ、烏丸、誇らしく思え」

「え~」


 つま先立ちキス、そんなことがいつか俺にも出来るだろうか。


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白鳥さんの愉快な日常 出張版 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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