【短編賞創作フェス】つまさきを

武藤勇城

↓本編はこちらです↓

つまさきを

爪楊枝。楊は柳を意味し、その枝の部分を爪

先の代わり代用品にしていたのが語源。歯間

を掃除する目的で使われる。楊枝の先端は細

く尖っている。呵呵大笑した時など、食べカ

スが周囲の人に見えないように、エチケット

ぐらい確りしておきましょう。歯磨きが出来

る状況であれば、敢えて楊枝を使わずとも光

風霽月。然し会社から歩きで近くにある食堂

に行けば必需品なのが道理である。爪楊枝で

少なくとも指先を爪先を、汚す心配はない。


渡ワタルより二年上の先輩が、早姫サキであ

る。大学は同じだが、じつは接点は学校外。

仔猫が川の中ミャーミャー鳴いて、散歩中の

犬とワタルが為す術もなく立ち尽くしている

のを、帰宅途中に運良く通り掛かったサキが

むねに抱き抱え救助。鼻を擦り付ける猫。こ

れを機に二人は結婚。先輩は良妻賢母に。年

は巡り。その日は台風だった。氾濫する河川

…また仔猫が溺れ。遺った冷たいサキの頬の

爪痕。仔猫の命は救えたが妻サキを失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編賞創作フェス】つまさきを 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画