存在しない怪談

センサー

　ブログ、ですか？

　―そうそう、アイツ、一応偽名？ で書いてたんだけど、ソイツの友達がこっそりクラスにそのブログのURLばらまいてて。だから俺だけじゃなくて、まあ、みんな知ってたと思います。

　で、今回はそれを見て、ウチに相談にいらしたと。

　―うん……なんていうか、いや、まあ俺は別にこのブログのことはソイツ……ええっと██って言うんですけど、██にはブログのこと、直接俺からは何も言ってなかったんですけど、クラスのちょっと―なんて言うんだろ、リーダーみたいなやつがブログのことからかったんですよね。

　あ～……

　―そんで、ソイツ、ブログの内容が知られたのがよっぽど嫌だったのか、それから暫く学校来なくなっちゃって。なんか心配になって、んで、なんか更新されてないかと思ってブログを見たんです。

　で、それがこれ？

　―そうです。俺が確認したのが、アイツが来なくなってから一週間後何ですけど、一週間の間毎日更新してて……。

　ふうん、確かに最初の方はクラスへの恨みつらみみたいなのが書かれてる……なんというか、閉鎖はしなかったんですね。

　―ですね。今日コピーして持ってきたのは、その当時のやつだけですけど、未だに毎日更新されてますよ。んで、最初こそ……まあリーダー格のやつの悪口とか、先生への不満とか、こんなん書いたら逆に登校しづらくなるだろ見たいなの書いてたんですけど……。日を追うごとに……なんつーか、わかりますか、変になってるんですよ。

　……ええと、先に確認しておきたいんですけど。

　―はい。

　この……██くんのブログですかね、これについてクラスメイトに広めた友達っていうのがあなたということでいいですかね

　―……はい。

　で、なにが気になるんですか？ その、私が見る限りでは妙なところはないようです。 内容から察するに……ええと、だから、この件を受けて転校されたんですね？

　―……してないはずなんです。

　……というと？

　―アイツのブログで、転校の話が出たとき、流石にクラスでも話題に出て、でも転校の話なんか聞いてないって、担任が言ってて……。

　事情が事情なだけに、伏せられていたのではないですか？

　―それが、いや、仮にそうだとしても、もっと変なことが起こってて。

　はあ。

　―ブログの内容が、なんというか、段々人が変わったみたいになって……。それで、アイツが変わっていくにつれて、みんなちょっとずつ忘れたんです。

　忘れた……██くんのことをですか？

　―そうです。だって変なんです。俺、先生の名簿盗み見たら、アイツの名前があって、アイツ、今日も出席したことになってるんですよ。でも、先生に██のこと聞いたら、そんなやつクラスにいないだろうって言われるんです。かえってきてないんだから、って。

　……なるほど。それで、こんなところに、中学生が一人でね。

　―あなたの評判はネットで見て……来ました。

　なるほどねえ。

　―あの、何が起きてるんですか、怖いんです。なんで俺だけアイツのことを、ちゃんと覚えたままなんですか。

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