第5話 決意

リナと別れた後、悠はふと空を見上げた。冬の澄んだ青空が広がり、山の頂に残る雪が太陽の光を反射してまばゆく輝いていた。その景色に、彼はこれまで見たことのない感覚を覚えた。何かが変わり始めている。それは、吹雪の中でリナの手を握った瞬間から始まった変化だった。


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悠は帰り道、ひとりの老人と出会った。その老人は小さな山村で案内人をしており、山の危険と美しさを語るのが仕事だった。


「お前さん、ただ山を歩くだけじゃないな。何か背負ってる顔だ」


老人の言葉に悠は少し驚いた。彼はそれを否定するでもなく、少し黙った後、ぽつりと言葉を漏らす。


「……そうかもしれない。でも、少し軽くなった気がする」


その答えに老人は笑い、手元の杖を雪に突き立てた。


「軽くするには、まず誰かと分け合うことだ。その誰かは、今回お前さんが見つけたのかもしれんな」


その言葉が、悠の胸に静かに響いた。雪山の過酷な旅の中で、彼はリナと分かち合い、ほんの少しではあるが過去の孤独を手放すことができたのだ。


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数日後、悠の元にリナから一通の手紙が届いた。そこには、彼女の真っ直ぐな感謝の言葉と、もう一度雪山に挑戦したいという決意が綴られていた。


> 「あの日、新堂さんに助けてもらっただけじゃなくて、自分自身を見つめ直すきっかけをもらいました。もう一度、今度は私自身の力で山を登りたい。そして、その時また新堂さんと会えたら、今度は私があなたを支えたいと思います。」


悠はその手紙を何度も読み返し、少しだけ微笑んだ。リナの言葉には力強さが宿っていた。そして彼は思う。自分もまた、次に会う時はもっと軽やかになっていたいと。


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その冬が終わり、春が訪れるとともに、悠は再び山道を歩き始めた。今度は、ただ孤独を選ぶのではなく、そこにある景色や出会いを感じるために。そして、いつかリナと再会した時、自分もまた新しい自分でいたいと願いながら。


雪解けは、また新しい始まりを告げていた。

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雪解けの向こう うるさいマイク @micloud

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