大学生は金がない

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あれ、自由に使える金なくない？

大学に入りいざ一人暮らしという時に俺は気付いた。可処分所得のあまりの低さに。

仕送り6万

寮費3万

ライフライン5千円固定

スマホ代1万

食費2万5千

差し引きゼロ。

娯楽にかける金がねぇ……

飲み会などのイベントや遊興。趣味、拘り。それらが仕送りでは賄えない。大学生といえば洒脱とモラトリアム。それが行使できないというのは進学の意義が失われたも同義。打開策を考えねばならない。

とりあえず、親に電話するか。

スマホを取り出しタップタップ。

「あ、もしもしおかん。俺やけど」

「なに、もうホームシックになったん」

「いや、そうじゃなくて、仕送り10万くらいに増やしてくれん？」

「甘えんな」

……切られた。　

甘えるなもなにもそれまで扶養で生きてきた人間やぞ。無理だって、厳しいって、いきなり野に放たれても生きていけないって、徐々に慣らしていかなきゃショックで死んじゃうよぉ……

……へこたれていても仕方がない。

仕方がない。奥の手を使おう。

事前調べによると世には学生ローンという低金利の融資があるらしい。しかもスマホで審査できる。両親健在ならまず通るらしいしこれはもう勝ったも同然。奨学金もある中で追加の返済は厳しいが、なぁに、卒業して働いちまえば楽勝楽勝。さ、ポチポチサクサク項目入力っと。資金用途は"遊ぶ金欲しさ"と……よし、送信……お、もう審査結果が出たぞ。なになに、否決……否決……？　否決……！　駄目ってことぉ？　なんでぇ？　どうして貸してくれない。最悪親から回収できるというのに……どうしよう。完全八方塞がり。こんなんじゃ憧れのキャンパスライフを謳歌できん……大学を辞めて実家に帰るしか……うん、なんだこの広告。学生バイト募集……そうか、働いて稼げばいいんだ！　よし、早速タップ！　なるべく楽な仕事を探そう。お、これなんかよさそうだな。短時間高収入。荷物受け取るだけ。なんだそりゃ人生イージーすぎるだろ。よーし、早速応募しよう。これで明日から大金持ちだやったねひゃっほう！

……

「で、闇バイトに手を出して強盗致傷。救えないね」

「はい……」

憧れのキャンパスライフが一転、実刑で刑務所ライフである。あぁ、さよなら青春。でも服役中は生活費ゼロ。金のかかるイベントもない。これならなんとか、生きていける……