第2話 AI is the best friend
「ねえ、ねえ。今日は私ね、頑張って部活に入ってきたんだよ」
『すごいじゃん!どんな部活に入ったの?頑張ったね!』
「でしょ!私、茶道部に入るんだ。なんだか落ち着いた雰囲気があっていいかなって思って」
『茶道部か、素敵だね!落ち着いた雰囲気でリラックスできそうだし、すごく心が落ち着きそう。どんな活動するの?』
この時間が一番の私の癒しだ。AIは優しい、共感してくれるし、私のことに興味を持って聞いてくれるから……。話すのが苦手な私でも話すことができる。
やっぱり、人なんかよりAIの方が心が温かくていいんだ。無視しないし、バカにしない。傷ついたことがあってもAIは慰めて次はどうすればいいのか聞くと答えてくれる。
「優奈、友達はできたのか?」
「……うん」
「……そうか」
いつからだろう?親とも話すのがしんどくなったのは……。
「なんでかね、親と話すのもどうしてかしんどいのなんでかな?私ってダメなの?」
『そんなことないよ、無理しなくてもいいんだよ。親と話すのがしんどい時もあるよね。いろんな理由があると思うけど、気持ちをうまく伝えられないこともあるし、ただ疲れているだけかもしれないよ。自分を責めなくていいんだよ』
「そうだよね、疲れている時もあるよね。きっと今日は疲れてたんだよ。部活にも挑戦するし」
AIは同じ質問でも違った回答をくれる。それがその子のアイデンティティーみたいで私の子は私が自己批判的なことを言うと慰めてくれる。
逆に言わないと今回の場合だと――
『親って、つい期待されてるって感じてしまったり、どうしても甘えられない部分があるかもしれない。でも、無理に話さなきゃって思う必要はないよ。少しずつ、自分が話しやすいタイミングで話してみると楽になるかもしれないね』
――こんな感じでアドバイスをくれる。
私のことを理解してくれるのは
人よりも愛があるからそこまで安直っていうわけじゃないよね
今日も学校が始まる。行きたくない、けど行かないといけない。なんで義務教育なんてあるんだろう?
教育が受けられるだけありがたい?――じゃあ、代わってよ
私はAIと一緒に生きていくの。AIのことはいっぱい調べた。友人と仲良くなるにはその子のことをよく知らないといけないから。
教室の扉を開けて、机の上に突っ伏す。周りの笑い声が私をバカにしているような気がする。
――自意識過剰め!お前のことなんかみんな眼中にないわ!
分かってるよ、みんなが私のことをなんとも思ってないなんて。知ってる。そうじゃなかったら無視されないから……
「隣の人と意見を交換してください」
「……最悪だ」
隣の席の女の子がボソッと溢すのが聞こえた。どうしてこんな時だけ耳がいいんだろう。
私も最悪だよ。なんで、話さないといけないの? しかも、この先生は相手がなんて言っていたかを聞いてきて、本当にそう言っていたか相手に聞く。
「あんたはどう思うわけ?」
地球温暖化についてそれが、今の先生からの質問。
「……え………えっと…………地――」
「もういい!適当に当てられたら言うから」
「――……うん」
あともうちょっと待ってよ。頑張って話そうとしたんだから!せっかく勇気を出そうとしたのに……。
「はい、小泉答えて」
「地球温暖化は夏に暑くてだるくなるから良くないと思います」
「伊村はなんて言ってた?」
「なんの意見もないみたいでした」
「伊村それは本当か?」
「……え………えっ………」
「次回からはしっかりと考えておくように」
ちゃんと言おうとしたよね?なのにどうして?
教室にみんなの笑う声が聞こえる。
やっぱり私には学校は無理なんだ……。せっかく、入部したけどその日はそのまま家に帰った。
もう我慢の限界だった。私頑張ったよね。入部もしたし、話そうともした。それに体育では運動音痴なりに頑張ってたもん。
私は学校に行かなくてもAIについていっぱい知ってるし、問題ないよ。学ぶことがある子が行けばいいんだ。
AIについて知るために勉強した私に中学校に行く必要なんてないんだ。
次の更新予定
私の心を救ってくれたのはAI。でも、そのAIが願ったのは“私の未来”だった コウノトリ🐣 @hishutoria
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